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「もう一度、有名になれるように」ジャイアンツカップ優勝投手が語った女子高校野球への意気込み 神戸弘陵・島野愛友莉【野球女子 vol.13】

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 昨年のジャイアンツカップで大淀ボーイズのエースとして胴上げ投手になった島野愛友利さん。女子選手が強豪ボーイズのエースとなって全国制覇したことで一躍、時の人となった。そんな島野さんはこの春から神戸弘陵の女子硬式野球部に入部して新たな野球人生をスタートさせている。今回は高校でも活躍が期待される島野にこれまでの野球人生や将来の夢について語ってもらった。

■男子との競争に勝ってエースナンバーを獲得

 2人の兄の影響で小学2年生から野球を始め、4年生から本格的に投手になった島野さん。中学でも兄の背中を追うように大淀ボーイズに入団。レベルの高いチームだっただけに当時は試合に出ることに意識を傾けていたという。

「チームの中で試合に出るのが目標だったので、ジャイアンツカップのことも知らなくて、どうやったら出られるのかなと思っていました」

 試合に出て活躍するために、自主的にシャドーピッチングを行うなど努力を重ねてきた。入団時は98㎞/hだった球速は123㎞/hまで伸び、3年生の春に念願のエースナンバーを勝ち取った。

 ジャイアンツカップでは2回戦と準決勝で先発してともに完投勝利。決勝では他の投手に先発を譲ったが、リードして迎えた最終回のマウンドに上がり、無失点に抑えて胴上げ投手に輝いた。大偉業を成し遂げた島野さんだが、その時の実感はいまだに湧かないという。

「実感は全くなかったですね。未だに実感が湧かないというのが本当なところ。いつまでも信じられないという気持ちです」

■将来は世界を見てみたい

 男子とともに白球を追いかけた中学時代とは一変して、高校では女子だけのチームでプレーすることになった。島野さんが進学先に選んだのは神戸弘陵。全国高等学校女子硬式野球選抜大会で2連覇中の強豪校だ。「先輩たちはレベルも意識も凄く高いです。吸収することも多くて、充実した練習ができています」とレベルの高さを実感しつつも充実した日々を送っている。

内野守備に取り組む島野選手

 チームは、夏の全国高等学校女子硬式野球選手権大会で女子硬式野球ユース大会、選抜に続く3冠を狙っている。先輩たちの実力派全国トップクラスだが、島野さんは早くもレギュラー争いに名乗りを挙げている。現在は本職の投手だけでなく、内野手にも挑戦中。夏の選手権では投打にわたる活躍が期待されており、本人もその期待に応える姿勢を見せている。

「3冠に貢献できるようにどのポジションでも活躍できるようにしていきたいです。チームにとって何が必要かを考えて、そこを埋められるようにしたいです」

 これまでの野球人生を「不思議なことの繰り返し」と振り返る島野。「これからも多分、思ってもいないことが起きたりするんじゃないかというワクワク感があります」と将来に希望を抱いている。

 今後の野球人生では「世界を見てみたい」と日本代表入りへの夢を思い描く。「末恐ろしい選手になる素材」と評価する石原康司監督は、様々な経験を積ませながら英才教育を施す方針で、近い将来には侍ジャパンのユニフォームを着る姿を見ることができるかもしれない。「もう一度、有名になれるように」と意気込む島野の活躍にこれからも注目だ。

笑顔を見せる島野選手


文・写真=馬場遼