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野球女子

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チームを支える勝利への強い気持ちと仲間への繊細な思い 石垣麻弥乃(埼玉栄)の主将力【野球女子 vol.6】

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 今年3月に行われた、全国高等学校女子硬式野球選抜大会でベスト4に進出した埼玉栄女子硬式野球部。今年のチームも、女子高校野球の強豪の名に恥じない成績を残したように思えるが、選手たちに満足感は一切なく、むしろ悔しさが強く残る敗戦となった。

 そんな埼玉栄女子硬式野球部を、主将として引っ張るのが石垣麻弥乃(いしがきまやの)だ。石垣は、主将として全国高等学校女子硬式野球選抜大会で優勝を果たせなかった責任を口にする。

 今回は、そんな石垣の主将としての取り組みに迫った。

ガッツポーズを見せる石垣麻弥乃選手

ガッツポーズを見せる石垣麻弥乃選手

【主将としてチームメイトへの声掛けを最も重視】

 主将としてチームを牽引するだけでなく、打順も4番に座り、守備ではショートを任されている石垣。

 父や兄の影響で小学校1年から野球を始め、中学時代も3つのチームを掛け持ちして積極的に野球に触れてきた。

 その甲斐もあり、女子高校野球の強豪・埼玉栄高校に入学。1年時から出場機会を掴み、夏には全国制覇を経験。早くからチームの中心選手として活躍を見せていた。

 そんな下級生時からの経験を買われ、今年のチームが発足した際にはチームメイトからの推薦を受けて主将に就任。だが、主将になった当初から不安は強くあり、実際に苦労も多かったと石垣は振り返る。

「チームのみんなから指名がありキャプテンになったのですが、元々人前に立つようなキャラではありません。みんなが協力してくれる中で、今もなんとか頑張っています」

 中でも、特に苦労したと話すのが、人間関係を含めた声掛けだ。主将である以上、チームの士気を下げることはできないと考え、チームメイトへの声掛けにはとても神経を使っていると話す。

「やっぱり女子だけなので、人間関係が壊れないように気を使っています。男子だったらズバズバ言えるのかもしれませんが、『これを言ったら落ち込んでしまうかな』とか色々考えながら声掛けをしています」

 石垣の苦労は、チームを率いる鈴木佑監督も理解する。それでも鈴木監督は、主将として必死に頑張っている石垣を高く評価している。

「この大所帯で本当に大変だと思いますが、その中でもすごく頑張ってると思います。よく声を出して、チームをまとめようとしているのが伺えますね」

部員と一緒にボールを磨く石垣麻弥乃選手

部員と一緒にボールを磨く石垣麻弥乃選手

【夏は絶対優勝する気持ちで戦う】

 そんな中で迎えた全国高等学校女子硬式野球選抜大会は、チームの課題が如実に現れる結果となった。準決勝まで勝ち進んだ埼玉栄は、決勝進出を懸けて神戸弘陵と対戦した。

 埼玉栄打線は相手の好投手を最後まで打ち崩すことが出来ず、6対0で完封負けを喫した。石垣は大会を振り返り、課題である打撃力をチームとして高めていきたいと語る。

「打撃面が他のチームと比べたら劣ります。やっぱり良いピッチャーと対戦すると、自分たちの打撃が出来なくなります。

 試合の中で、みんなで話し合って対策を立てたり、相手投手の弱点を見つけ出そうとしたり、選手の中で話していくことをもっと増やしていきたいと思います」

 そのために石垣は、夏に向けて練習から試合を意識して いきたいと強く意気込む。打撃力が他のチームより劣ると感じている一方で、練習では本来の打撃ができている選手が多いと気づいた石垣は、より実践でも力を出せる練習を行っていきたいと語る。

打撃投手を行う石垣麻弥乃選手

打撃投手を行う石垣麻弥乃選手

「練習だったら落ち着いて出来ることも、試合やピンチの場面では焦って自分のことだけに集中してしまい、いつも通り出来なくなってしまうところがあります。夏に向けて、そこを課題にやっていきたいと思います」

埼玉栄女子硬式野球部の最後の夏の大会は、すぐそこまで迫っている。最後に、石垣に夏に向けた意気込みを語っていただいた。

「春夏連覇を目標にずっとやってきましたが、春はベスト4という結果に終わりとても悔しい思いをしました。夏は絶対優勝するという気持ちで戦いたいと思います」

捲土重来を期す埼玉栄女子硬式野球部の夏の戦い、そして石垣主将の活躍に注目だ。

取材:栗崎祐太朗(WoodStock)

石垣麻弥乃選手の横顔

石垣麻弥乃選手