- 侍ジャパン
2019.10.30 16:00
2019 WBSC プレミア12 世界の野球強豪国 韓国のメンバー紹介【WORLD BASEBALL vol.37】
準決勝で侍ジャパン相手に劇的な逆転勝ちを収め、前回大会を収めた韓国。今やトップレベルでは世界の強豪のひとつに数えられると言っていいだろう。今大会も国内プロリーグKBOの精鋭を集めた。
韓国の打線の強さは、昨年夏のアジア大会からも明らかだろう。日本は社会人選抜の代表チームでこの大会に臨んだが、プロ主体の韓国打線と比べると、明らかに見劣りがした。
荒西祐大(現オリックス)らドラフト候補の投手が投げる球を韓国打線はいとも簡単に打ち返し、他の試合では猛打を振るった侍ジャパン打線は韓国のパワーピッチャーの前に沈黙した。この大会、韓国は圧倒的な強さで金メダルを獲得したが、この時の打線の中心だったキム・ジェファン(斗山)が、今回の代表チーム最年長の元メジャーリーガー、パク・ビョンホ(キウム)とともに打線の中核をなすだろう。
また、中日でも活躍した韓国球界のレジェンド、イ・ジョンボム氏の長男、イ・ジョンフ(キウム)も代表入りし、外野の一角を占める。プロ入り後、3年連続で3割をマーク。「韓国のイチロー」と称せられる背番号51の若武者は、一昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップでも若手主体の代表チームの一員として来日している。
投手陣では、キム・グァンヒョン(SK)とヤン・ヒョンジョン(起亜)の1988年生まれの左腕コンビが先発の柱となるだろう。すでにベテランの域に入っているが、とくにキムは、これまでアジアシリーズ、北京五輪などで日本と対戦し手の内を知り尽くしているだけに、対戦となれば厄介な存在になるに違いない。
変わり種としては、元ヤクルトのハ・ジェフン。四国アイランドリーグplusの徳島からヤクルト、そして再び徳島に戻り、日本で外野手としてプレーした彼だったが、もともとアメリカ・マイナー時代は投手。その才能は今年SKに入団して花開き、リーグトップの36セーブを挙げた。彼をはじめブルペン陣は非常に充実している。
この韓国の「ドリームチーム」を率いるのは、北京五輪で日本を完膚なきまでに叩きのめし、金メダルをもたらしたキム・ギョンムン監督。当時と違い、KBO球団の指揮からは離れてはいるが、昨シーズンまではNCダイノスで指揮をとっており、勝負勘は鈍ってはいない。プロの入るトップレベルでは韓国球界初の「世界一監督」に国内の期待も高まっている。
アメリカ志向の強いKBOは、力と力の勝負が魅力のリーグだ。パワーとスピードの点では今や日本のNPBを上回っているかもしれない。その精鋭が集まる今回の韓国チームに対するには、とくに投手陣は、各打者のポテンシャルと真正面に勝負するのではなく、日本野球の特徴である緻密さをもって対することが肝要となるだろう。
文・写真=阿佐智