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WORLD BASEBALL

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2019 WBSC プレミア12 世界の野球強豪国 オーストラリアのメンバー紹介【WORLD BASEBALL vol.39】

 国際大会の度テストマッチが組まれ、日本の野球ファンにもおなじみのオーストラリア。この国の野球選手は、国内ウィンターリーグでプレーしながら他職を兼業している者か、他国のプロリーグとの間を往復している者かに大別される。今回のメンバー構成は、ウィンターリーグのみでプレーしている選手が中心になっている。

 投手陣では、2018年シーズンを最後にブレーブスを離れ、ウィンターリーグでもプレーすることなく今年の2月に引退を表明していたピーター・モイランが、この大会で現役復帰している。

 プロ生活をツインズのマイナーで始めルーキーリーグで2シーズンプレーしたのみでリリースされたものの、サラリーマン生活を送りながら8シーズンクラブチームでプレーし、WBC2006年大会での投球が再びスカウトの目に留まり、メジャーに昇格した逸話の持ち主だ。不死鳥のような彼が、再度の現役復帰を飾るのかは見ものだ。

 しかしながら、現実には40歳の彼に大きな期待を寄せることは難しいだろう。

【トラビス・ブラックリー】

【トラビス・ブラックリー】

 昨シーズンのABL(Australian Baseball League)で横浜DeNAの今永が所属していたキャンベラで7勝を挙げ、最多勝に輝いたスティーブン・ケントや、2014年に東北楽天に在籍していた元メジャーリーガーのトラビス・ブラックリー(ブリスベン)、2017年にルートインBCリーグ・新潟アルビレックスでノーヒットノーランを達成したジョシュ・トルス(フィリーズ3A)、2015年に同じくBCリーグ・石川ミリオンスターズで先発として8勝を挙げ、このオフにはABLでリーグ記録となる17セーブを挙げたライアン・サール(ブリスベン)ら代表常連が投手陣を引っ張ることになる。

 打撃陣では、以前にも紹介した元メジャーリーガーのルーク・ヒューズ、アラン・デサンミゲルのメルボルン・エイシズのベテランコンビがやはり名を連ねている。今大会もそれぞれ、ファースト、キャッチャーとしてスタメンに名を連ねることだろう。

【ダリル・ジョージ】

【ダリル・ジョージ】

 メルボルンからは、BCリーグ・新潟からオリックス入りしたダリル・ジョージも代表入りしており、サードを守ると考えられる。ブリスベンのイケメン遊撃手、ローガン・ウェードも健在だ。同じくブリスベンからは、監督の甥っ子、ミッチェル・ニルソンもメンバー入りしている。

ローガン・ウェード

【ローガン・ウェード】

 その他、日本にゆかりのある選手としては元3Aの外野手で、BCリーグ新潟、四国アイランドリーグplus・愛媛マンダリンパイレーツでプレーした経験をもつデビッド・キャンディラス(キャンベラ)もロースター入りしている。

【ミッチェル・ニルソン】

【ミッチェル・ニルソン】

 チームを率いるのは、ブリュワーズで長らく正捕手を務めたオーストラリア球界のレジェンド、デービッド・ニルソン。シドニー五輪出場を希望し、メジャーのレギュラーの地位を投げうって、2000年シーズンを中日で送った際は、「ディンゴ」のニックネームで登録された。

 オーストラリア代表チームは、韓国での本番に備えて東京・府中市で合宿を行っている。東京オリンピック出場を見越して、ここを北半球の活動の拠点としているのだ。今大会で韓国、台湾より上位に立てばオリンピックへの切符を手にすることができる。日本で万全の調整を行ったオーストラリア代表は、韓国でのオープニングラウンドの台風の目になるに違いない。

文・写真=阿佐智