2019.09.08 12:00
2019WBSC プレミア12開催球場の今を紹介 ~エスタディオ・チャロス・デ・ハリスコ~【WORLD BASEBALL vol.27】
今大会で第2回目を迎えるプロ中心の国際野球大会、プレミア12はメキシコ、韓国、台湾、日本の4か国6球場で実施される。4か国ずつによる総当たり戦、オープニングラウンドが日本以外の3か国4球場で行われるが、今回からはその各国の会場を紹介していく。
アジア中心の前回大会だったが、今大会からはメキシコが会場に加わった。この国は前回大会では国内諸団体の足並みがそろわず、出場が危ぶまれたほどだったが、それをひとつのきっかけとして、夏季冬季のトップリーグであるメキシカンリーグとメキシカンパシフィックリーグ、それにメキシコ野球連盟が「挙国一致態勢」をとるようになり、国際大会にも積極的になっている。
これまで、メジャーリーグの公式戦やWBCなどの「国際戦」は、メキシカンリーグの盟主的存在であるモンテレイ・スルタネスの本拠、北部の工業都市モンテレイにある現在国内最大の2万2000人収容のエスタディオ・モンテレイや、もともと屋外コンサート会場でメキシコシティ・ディアブロスロッホス(レッドデビルズ)の本拠でもあった2万6000人収容のフォロ・ソルが使用されていた。
しかし近年は、メキシカンパシフィックリーグの新興球団、ハリスコ・チャロス(カウボーイズ)の本拠、その名もエスタディオ・チャロスが使用されるようになってきている。
この球場は、西部ハリスコ州の州都、グアダラハラに隣接したベッドタウン、サポパンに位置している。収容1万6500人はメキシコでは最大級と言っていいだろう。
スタンドに足を踏み入れれば、その独特なフォルムが印象に残るだろう。内野上層スタンドの端に行くと、その特異性が際立つ。ここからフィールドがとにかく遠いのだ。
その外観からすぐにわかるが、もともとは、2011年10月に開かれたパンアメリカン大会用に建造された陸上競技の会場だった。2014年にグアサーベ・アルゴドネロス(コットンピッカーズ)の身売りにより、ハリスコ・チャロスが誕生すると、その本拠とするべく、野球用に生まれ変わった。
競技場のメインスタンドを上層スタンドとして、その下に野球用の下層スタンドを設置、上層スタンドの反対側にあるサブスタンドを取り壊して外野フェンスとスタンドを設けて野球場としている。内野席の端と外野席はバーカウンターを備えたレストラン席となっており、ラグジュアリーな感覚での観戦も可能となっている。
この新スタジアムでチーム、チャロスは生まれ変わり、現在では人気、実力ともに兼ね備えたメキシカンパシフィックリーグを代表するチームに変貌、昨年の冬、2018-19年シーズンにはついにチャンピオンに輝いている。
国際大会の舞台としても、2017年のWBC、2018年のカリビアンシリーズで使用され、現在進んでいるメキシコにおけるスタジアム・イノベーションの先駆的な球場と言うことができるだろう。
文・写真=阿佐智