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2019.09.05 12:00
上原浩治との思い出を胸に 千葉ロッテマリーンズ レオネス・マーティン選手インタビュー【Global Baseball Biz vol.22】
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2019年7月14日、千葉ロッテマリーンズは一人の新外国人選手の獲得を発表した。キューバ出身のアメリカ人、レオネス・マーティン選手だ。
来日する約1ヶ月前まではクリーブランド・インディアンスに所属していたバリバリのメジャーリーガーの来日に、日本球界はざわめき立った。インディアンスのほかメジャー複数球団に所属経験があり、テキサス・レンジャーズでは上原浩治とチームメイトだったこともある。
■来日2試合目にしてお立ち台へ
マーティン選手は試合に出場するとすぐに結果を出した。7月27日にZOZOマリンスタジアムで行われた、東北楽天ゴールデンイーグルス戦。来日2試合目となるこの日は2番右翼でスタメン出場し、6回裏にブセニッツ投手から来日初ヒットを放つ。
さらに守備では度肝を抜くような強肩を披露。そして1点ビハインドで迎えた8回裏には、レフトスタンドへ2ランホームランをお見舞いした。この来日初ホームランは勝ち越しの一打となり、その後追加点もあってチームは勝利を収めた。
試合後初のお立ち台に上がったマーティン選手は、開口一番エラーを謝罪する。少し高い声に、どこまでも謙虚な姿勢。ファンからの声援に感極まって飛び出た「アリガトウ」の言葉。そして最後は「アシタモ、ガンバリマーティン」と照れた様子で締め、マリンスタジアムは暖かい雰囲気に包まれたのだった。
■元チームメイト 上原浩治との出会い
元チームメイトである上原氏はマーティン選手来日について、後日SNSで”いい選手を取りましたね”と呟いていた。マーティン選手に当時の上原投手とのエピソードを伺うと、少し笑って、嬉しそうに語りだした。
「上原さんは本当にいい友達で、大好きな選手の一人なんです。上原さんがボストン・レッドソックスの抑えをやっていたときは対戦することが何度もありましたが、いつも三振かゴロか三振か……毎回討ち取られてしまっていたんですよね。でも一回だけ打てたことがあって、それはホームランだったんですよ」
「対戦したことだけではなくて、上原さんとはたくさんの思い出があります。上原さんに日本製のベルトを頂いたことがあったんですが、それがお気に入りで当時はずっと使っていました! 本当に上原さんのことは大好きで、とても尊敬しています」
マーティン選手は「上原さんと出会えたことが一番良かったこと」としながら、当時多くの日本人選手と関われたことは自分にとってとてもいい経験だったと続けた。青木宣親選手、建山義紀選手、ダルビッシュ有選手、岩隈久志選手……親交のあった選手一人ひとりの名前を、懐かしげに丁寧に読み上げていた。
海を超えアメリカにやってきた日本人選手との親交、彼らから知る日本野球と文化への敬意。それらを胸に、今度は自身が海を超えて日本へやってきた。来日してすぐにファンの心を鷲掴みにするようなプレーを披露したが、それらは決して自身の技術を見せつけるためではなく、自分を必要としてくれたチームのためにという気持ちからのものだった。
移籍後、間もないチームへ必死で貢献しようと尽力する姿は、さながら忠義を尽くす侍のようだ。早馬の如くフィールドを駆け抜け、弓矢のような鋭い送球を返す。メジャーでの経験と日本への敬意を胸に、マーティン選手は勝利を目指し今日も出陣する。
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日本でもらった生まれてはじめての「応援歌」というプレゼント マーティンからマリーンズファンへ愛をこめて【Global Baseball Biz vol.23】
※取材日は2019年8月中旬
文:戸嶋ルミ