- 大学野球
2019.11.11 16:00
フルスイングが魅力の大型遊撃手。初の神宮大会で狙うはホームラン! 野口智哉(関西大2年)【Future Heroes Vol.38】
関西第1代表で神宮大会に出場する関大の4番は豪快さと確実性を兼ね備えた強打者だ。柳田悠岐(ソフトバンク)や吉田正尚(オリックス)を彷彿させるフルスイングを見せる一方で、今年は春、秋ともに3割台後半の高打率をマークしている。
この2年間で放った安打は63本。田口壮(関西学院大/現・オリックス野手総合兼打撃コーチ)が持つ関西学生野球連盟記録である通算123安打の更新も視野に入っている。
小学生時代にはオリックスバファローズジュニアの主将を務めるなど、早くから才能の片鱗を見せていた。徳島の鳴門渦潮高では3年夏に3番・遊撃手として甲子園に出場。「すぐに終わりました」と初戦で敗れたが、5打数2安打と実力を発揮した。
「長打は打つ方では対応できませんでしたが、ヒットを打つことは金属と変わらずにできました」と大学で木製バットに変わってもすぐに結果を残す。1年春からレギュラーの座を掴み、最初のシーズンで打率.364といきなりの大活躍。6月には侍ジャパン大学日本代表選考合宿にも選出される。輝かしい大学デビューを飾ったが、これが慢心を生み、秋はわずか6安打と苦しんだ。
「代表合宿にも選ばれて、驕りがありました。でも、あの経験があったからこそ、この1年間を通してひたむきに努力することができたと思います。1年の秋がターニングポイントだったといってもおかしくはないです」
1年目で成功と挫折を味わった。気持ちを入れ直した2年目はコンスタントに活躍。秋には初のベストナインにも輝いている。
そして、この1年間で最も成長できた点は守備だという。昨年は4年生に不動の正遊撃手がいたため、春は外野手、秋は三塁手で試合に出場していた。2年生になって本職の遊撃手に戻ったが、「春は全然、自信がなかった」と15試合で6失策。1年間のブランクは大きかった。
それでも練習を重ねて自信を取り戻すと、秋は失策が半減。「十分に守備でも貢献できる選手だと思います。動きも良いですし、スローイングも安定しています」と早瀬万豊監督も野口の守備力を高く評価している。
先月のドラフト会議では同じ関西学生リーグのライバルだった坂本裕哉(立命館大・DeNA2位)と村西良太(近畿大・オリックス3位)の2人が指名された。彼らと対戦することは自らの立ち位置を知る機会にもなっている。
「(プロには)行けたら良いなと思っています。坂本さんと村西さんには抑えられているので、まだまだだと思います」
2年後のプロ入りを叶えるためにも、初めての明治神宮大会は自身の存在をアピールする絶好の機会だ。「1本はホームランを打ちたいです」と全国の舞台で大暴れを誓っている。
足を上げてフルスイングするスタイルは高校時代に自然と身についた。打撃の信念は「自分を信じること」。これまでの努力を信じて、神宮の空にアーチを描く。
文・写真=馬場遼