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「左腕王国」で成長を加速させる来秋ドラフト候補 藤村哲之(横浜商科大)【Future Heroes Vol.32】

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 岩貞祐太(阪神)、西宮悠介(楽天)、左澤優(オリックス)、渡邊佑樹(楽天)とここ数年だけでも3人の左腕をプロ野球界に送り出してきた横浜商科大。社会人球界も含めると毎年のように好左腕を送り出している「左腕王国」に、また1人新星が生まれようとしている。

藤村哲之・・・1999年1月21日生まれ。愛知県豊田市出身。水源パイレーツ(軟式)→豊田リトルシニア(硬式)→愛工大名電高→横浜商科大3年。180cm82kg。左投左打。

【藤村哲之・・・1999年1月21日生まれ。愛知県豊田市出身。水源パイレーツ(軟式)→豊田リトルシニア(硬式)→愛工大名電高→横浜商科大3年。180cm82kg。左投左打。】

 最速144キロのストレートと、スライダーやカーブ、ツーシームに加えて打者の手元で曲がるカットボールやブレーキの効いたチェンジアップをキレ・制球よく投げ込む。

 小学6年生時は今井順之助(日本ハム)らとドラゴンズジュニアに選出。その後が豊田リトルシニア、愛工大名電と強豪でプレーを続けてきた。そして高校時代の恩師である倉野光生監督から「4年間修行のつもりで行ってこい」と横浜商科大に送り出された。

 佐々木正雄前監督(現総監督)に1年時から起用されるとともに、日々の中で「謙虚でいることの大切さ」を学んだ。フォームではリリースの際に後ろ足を蹴ることや、左ひじと右ひざがぶつけるくらいの腕の振りをするよう指導され、球速や球威を上げてきた。

 今秋は井樋秀則監督が「必ず試合を作るし、春に課題だったスタミナ面も克服した。コントロールも度胸も良いですね」と信頼を託すように、チームのエース格に成長。逆転優勝には負けられない17日の対桐蔭横浜大3回戦で、延長10回タイブレークにまで持ち込まれた試合で勝ちきると、21日の対神奈川大1回戦では1失点完投と、チームに勢いをもたらしている。

 井樋監督は「一番上の世界(プロ)を狙える選手だと思います」と期待をかけ、藤村自身も「やるからにはプロを目指さないといけない。高い向上心と謙虚さを持ってやっていきたいです」と力を込める。

 目標とするのは杉内俊哉(元ソフトバンク、巨人投手)。キレのあるボールでプロの世界で大活躍した憧れの人のような、チームになくてはならぬ左腕へと進化を遂げている藤村に、今後も大きな注目をしていきたい。 

文・写真=高木遊