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一浪を経て急成長!大学史上初の神宮とNPB入り目指す 塘本武司(大阪市立大3年)【Future Heroes Vol.29】

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 春の近畿学生リーグで防御率0.19という驚異的な数字を残した大阪市立大の塘本武司。少しだけ体を沈ませてから、投げ下ろす独特のフォームから最速144㎞/hのストレートやスライダー、フォークを投げ込み、来年のプロ入りも視野に入れている。

塘本武司(とももと・たけし)・・・1998年3月21日生まれ。大阪府大阪市出身。大阪市立文の里中(軟式)→八尾高→大阪市立大3年。右投右打。投手

【塘本武司(とももと・たけし)・・・1998年3月21日生まれ。大阪府大阪市出身。大阪市立文の里中(軟式)→八尾高→大阪市立大3年。右投右打。投手】

 高校時代は今年のセンバツで21世紀枠近畿地区候補に選出された公立の進学校・八尾でエースとして活躍。勉学に力を入れていた高校ということもあり、大学は野球ではなく、学力で選択した。

「現役では私立大を狙っていたのですが、浪人することになり、一浪するなら国公立に行こうと思いました。市大が頑張ったら行けるかどうかというところだったので」と大阪市立大を一般受験して、合格を勝ち取った。

 大学の野球部には、「一浪して体力もないし、適当にやろうかな」と軽い気持ちで入部したが、最初のミーティングで「大学野球をするならプロを目指してほしい」と話した辻盛英一監督の言葉に感化され、「やるからには本気でプロを目指そう」と気持ちに火が付いた。

 1年秋からリーグ戦での登板機会を与えられると、主にリリーフとして24年ぶりの優勝に貢献。この経験が飛躍につながったと辻盛監督は話す。「入ってきた時は普通のピッチャーでしたが、1年秋に化けたという言い方が良いかもしれないですね。優勝を経験して自覚が出て、急に良くなりました。チームではあの子が一番練習します」

 結果を残した自信と高い意識で練習に取り組んだことで実力は急上昇した。高校時代の球速は130㎞/h台前半だったが、ウエイトトレーニングの量が増えたことで球速が約10㎞/h伸びた。学年が上がるにつれて制球力も向上し、今ではチームの絶対的な存在となっている。

 この秋も出だしは順調だ。開幕戦では強豪の奈良学園大を相手に10回1失点の完投勝利。中2日で行われた2回戦でも1点リードの8回から登板してリードを守り抜いた。

「神宮大会優勝が最終的な目標ですが、目の前の一戦を勝ち抜いてリーグ戦は10戦全勝したいです」と今季の目標を話す塘本。第2節でも神戸大に連勝を飾り、チームは勢いに乗っている。

 大阪市立大は3度のリーグ優勝はあるが、まだ全国大会の出場経験はない。まだ見ぬ神宮のマウンドを目指して、この秋も快投を見せる。

文・写真=馬場遼