- プロ野球
2019.10.23 12:00
花友膳─「美味しい」を探し求めて全国を食べ歩く─【Ballpark Trip vol.24】
金の鯱(しゃち)──「名古屋といえば? 」の質問があれば、多くの人が1、2に思いつくであろう象徴だ。その象徴をお店の看板に使っているのが、ナゴヤドームの歴史とともに歩んできた『花友膳』(はなゆうぜん)だ。
花友膳という店名、そしてレジカウンター上部に設置するお店の看板からすると、お高い感じの和食やお寿司屋さんを想像してしまうが、決してそんなことはない。
ビールをはじめとしたお酒のおつまみに合いそうなものが、メニューとして豊富に並んでいる。ショーケースやメニューをざっと見渡すと、名古屋名物でもあるみそ串カツや、一番人気だというドラゴンポテト。
そしてチーズハットグなどワンハンドで食べることができるものが多い。ちなみにハットグとは韓国式のアメリカンドッグである。
お子様をはじめとしたお酒を飲まれない方でも、安心して食べられるものばかりだ。
もちろんガッツリ食べたい人向けのメニューもある。それが『台湾まぜめし』と『みそかつ丼』の2種類。おつまみが主力ではあるが、お腹いっぱい食べたい人も満足できるものも用意されている。
ナゴヤドームは、そのすぐ横に大型のショッピングモールがある。そのためにそこでご飯を食べてくるファンも多い。花友膳にとってはいわば競合店にあたる。
店舗を切り盛りする小島さんによると、「ショッピングモールと同じ商品を出しても意味がありません。なので、ひと手間かけてでも、できたてで美味しいものを提供することを心がけています」とのこと。たしかにショッピングモールと同じものを出しても勝負にならない。
そのためには店頭に何を並べるのかが、重要になってくる。小島さんは「オフシーズンの間に全国の美味しいものやブームになっているものを食べ歩き、探し求めています。ネットで調べるだけでなく、自分で出かけて自分で食べないとわからないですから。ここに詰まってますよ」と笑顔でお腹を叩く。
さらに「全国の美味しいものを店舗で一手間、一工夫かけられるかが重要です。例えば冷凍で仕入れて、そのまま販売しても意味がないですから。お客様から『ナゴヤドームで買ったほうが美味しいよね、できたてだよね』と言ってもらえるように試行錯誤しています」と続ける。
実際、その効果は売上にも表れているという。ドラゴンポテトにはリピーターがついており売上は4年前から現在も下がっていないようだ。自分の足で美味しいものを探し求め、さらにアレンジを加えることで商品がより際立っているのだろう。
流行を取り入れつつも、決してそのまま提供するわけではない。ショッピングモールとの差別化を図れるように一手間かける。それが、ロングセラーの秘訣となっているということだろう。
ショッピングモールで食べるよりも美味しい、来シーズンもお客様から支持を得るためにこのオフも全国を食べ歩く。来年はどのような商品が並ぶのだろうか。今から3月が楽しみだ。
(記事:勝田聡)