橋本侑樹（4年・大垣日大／中日2位）、大西広樹（4年・大阪商業大高／ヤクルト4位）、小野寺暖（4年・京都翔英／阪神育成1位）と来年からプロ入りが決まっている3選手を擁する大阪商業大だが、東海大札幌キャンパスに0対2で完封負けを喫した。

2回途中で降板となった大西（右）は同級生の橋本にマウンドを託した

　大阪商業大の先発マウンドを任されたのはエースの大西。関西六大学秋季リーグ戦では防御率0.24と抜群の安定感を誇っていた大西だが、「緊張があって、自分の力を出せなかったです」と本来の出来ではなかった。
　1回裏に一死満塁から5番・赤尾光祐（3年・東海大相模）にタイムリーを浴びると、2回にも安打と四球で無死一、二塁とピンチを招いたところで早くも降板。2番手で橋本がマウンドに上がった。

　追加点を許したくない大阪商業大は橋本がこのピンチを凌ぐと、「カットボールが良くて球を動かせていました」と6回まで無安打に抑える好投。流石ドラフト2位と言える内容だった。しかし、7回裏に一死一、二塁から赤尾にタイムリーを打たれて、痛い2点目を失った。
　打線も3番の小野寺が無安打に抑えられるなど、東海大札幌キャンパス先発の高沼拓海（4年・旭川工）の前に4安打完封。初の日本一を目指して神宮に乗り込んだが、初戦で姿を消すことになった。

「いつもの大西ではなかったですよね」と富山陽一監督。最後の大会に懸ける意気込みがかえって制球の乱れを呼んでしまった。それでも大西の4年間を見守った指揮官は「僕の教え子の中ではあの子がドラフト1位。1軍に上がったらここ（神宮）でやる可能性もありますから、頑張ってほしいですね」と1年生からチームを支えてきたエースをねぎらった。
　大西としては悔しい思いで大学野球生活を終えることとなったが、来年からは神宮でいくらでもリベンジをするチャンスがある。「ここに来る度に負けたことを思い出して、初心に帰ってやっていきたいです」と大西。この経験を糧にプロで大きく飛躍してほしい。

■1回戦：大阪商業大vs東海大札幌キャンパス
大阪商業大　000000000=0
東海大札幌　10000010X=2

【大】●大西、橋本、伊原-岡澤
【東】〇高沼-井内

ラストシーズンで大きく飛躍した高沼がこの日も大阪商業大打線を封じた

◎東海大札幌・高沼拓海投手
「2回くらいまで緊張していましたが、徐々に自分のペースで投げることができました。先制点を取ってもらえたのは大きかったです。いつも通り、タイミングとキレで勝負できました。4年間の集大成なので、最後は楽しく投げていきたいです」

◎大阪商業大・橋本侑樹投手
「この大学に来て良かったです。もっとこのチームで野球をしていたかったです。厳しさを持って鍛えていただきました。人としても技術としても大きく成長させてもらいました。みんなで1つの方向に向くまとまりのあるチームでした。日本一のチームだと思っているので、それを結果で証明したかったです」

文・写真＝馬場遼