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国立大・和歌山大敗れるも「考える野球」貫徹。上武大5季連続全国4強入り【全日本大学野球選手権】

★「爪痕は残せた」国立大7年ぶりの8強入り

7日の岡山商科大戦で初出場初勝利を挙げた国立の和歌山大。6月8日の準々決勝で全国大会4季連続4強入りの強豪・上武大に4対11で敗れたが、最後まで「考える野球」を貫徹した。

2回に守備のミスが重なり3点を奪われた和歌山大は、3・4回にも失点を重ねたが、5回に9番の田頭優人内野手(3年・市岡)が2ラン本塁打を放ち2点を返す。だがその裏に、上武大の指名打者・田中悠太郎内野手(4年・大冠)が今大会2本目となる3ラン本塁打を打たれ、リードを8点に広げられた。

だが、7回表に和歌山大が意地を見せる。先頭の田淵公一郎外野手(2年・鳥羽)のセーフティーバントによる内野安打と四球で無死一、二塁とすると、1ボールからダブルスチールを敢行。これに大原弘監督は「田淵がノーサインで走りました。こういう野球がウチの野球とスタンドで見ている選手たちにも伝わったでしょう」と称えた。このチャンスに、主将の眞鍋雄己捕手(4年・高川学園)が高いバウンドのサードゴロを放ち、三塁走者の田淵が生還し、7点差に縮めた。さらに4番の池内健人外野手(4年・丸亀)がセンター前タイムリーを放って、コールド回避となる6点差とした。

最後は、その裏に失策により1点を奪われてコールド負けが決まったが、初の全国大会で1勝と自分たちの野球をやりきり、大原監督は「なんとか神宮に爪痕は残せたかなと思います」と収穫を語った。

また、大原監督の就任した10年前は3部リーグの所属だったが、「当時から選手たちが野球に真摯に取り組んでいました。そうしたOBたちのおかげで階段を上って行くことができました」と感謝の気持ちを示した。

今後に向けては「これまで教えてきた野球の視点・観点を伝えていく責任を求めていきたい」と主将の眞鍋を中心に、さらなる成長を促し、再び全国大会を目指す決意を語った。

主将として秋もチームを牽引する眞鍋主将(和歌山大)


この試合のハイライト動画はこちら

★準々決勝・和歌山大vs上武大

和歌山大 0000202=4
上武大 0313301x=11
【和】●野山、宮本(翔)、貴志—眞鍋
【上】◯寺沢、石井、伊藤−吉田
本塁打:上武大・田中《5回3ラン》

◎上武大・谷口英規監督

「(5季連続の4強入り)なかなかこの壁はありますので、昨年の負けから自分たちがやってきた成果が出る試合になるでしょう。次が決勝、最後くらいの気持ちで戦いたいです。(和歌山大の印象)一人ひとりが自分たちの力を知っていて、考えて野球をしているなという印象でした。こっちがやられたら嫌なことを隙あらば狙ってくる。これは考えてやらないとできないですよね」

得点に沸く和歌山大応援席


文・写真=高木遊