- 大学野球
2019.10.21 19:00
楽天ドラフト3位指名!プロ入り前に「日本一の部活」の証明目指す 津留崎大成(慶應義塾大4年)【Future Heroes Vol.35】
リハビリから始まった津留崎大成(慶應義塾大)の大学野球は今、最高の形でハッピーエンドを迎えようとしている。
チームは開幕8連勝で優勝に王手、そして自身は10月17日のドラフト会議で楽天から3位指名を受けるなど、勢いに乗る最速153キロの剛腕に成長の軌跡や今後の抱負を聞いた。
小学6年時に現在も同僚の郡司裕也(中日ドラフト4位指名)、網谷圭将(元DeNA、現ヤマハ)らとともに、千葉ロッテマリーンズジュニアに選出。中学時代は佐倉リトルシニアで全国8強入りを果たした。
学業成績も良かったことで慶應義塾高に入学し、1年春の横浜隼人戦に公式戦初先発。2年秋からエースとなり、後に全国制覇を果たす東海大相模ら強豪倒そうと燃えていた。
だが、3年夏前。以前から痛みがありながらも言い出せないでいた右ひじが悲鳴を挙げる。オーバーワークもたたり、右肘内側側副靱帯損傷。投げられる状態ではなかったが、神奈川大会準々決勝に痛み止めの注射とグルグル巻きのテーピングをして強行出場したが、ヘッドスライディングの際に今度は左腕を2ヶ所骨折。チームも敗れ、その後両腕を手術した。
大学進学後も長いリハビリが続き「本当に投げられるようになるのかな?」と不安になることもあったが、「焦らず自分ができることをやっていこう」と心に決めた。
この期間が津留崎を大きく成長させた。体をイチから作り直すために栄養学やトレーニング理論を勉強し、現在の筋骨隆々の体格を作り上げた。大きな馬力を手に入れ、高校時代に144キロだった最高球速は現在153キロにまで達した。
また「野球人生を大きく変えることになりました」と、充実の指導陣がその成長を助けた。大久保秀昭監督からはリハビリ時に温かな声かけをしてもらったり、野球観を学んだ。林卓史助監督からは細かな技術を叩き込まれた。去年まではそれを上手く体現できなかったが「今になって自分自身の野球をする上での引き出しになっています」と話す。
さらに今年から就任した竹内大助助監督からは、打者の見方や考え方を「もっと楽に考えたらどうだ」と助言され、「その引き出しを使えるようにしてもらいました」と感謝する。
「やっと今、野球の上手くなり方が分かってきましたし、まだまだ成長できるし、もっと球も速くなる」とプロ志望届提出を決断。ドラフト会議では予想を上回るドラフト3位指名を受け、笑顔を弾けさせた。
今秋は5試合に登板して8回3分の1を投げて、わずか2安打で自責点無し(春の5試合を合わせても、今年の自責点は無し)。開幕8連勝と勢いに乗るチームに大きな貢献を果たしている。
「今はこのチームの優勝のことばかりを考えています」と話し、「この野球部がすべての部活動で一番だと思っているので、日本一になってそれを証明したいです」と意気込んでいる。
大きな苦難を経験したからこその強さ、周囲のサポートにより得た視野と技術。これらを結集させ、日本一を掴むべく腕を振り続ける。
文・写真=高木遊