- 社会人野球
2019.10.07 16:00
無名の存在から即戦力左腕へと成長した 平岡航(伯和ビクトリーズ)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 社会人編】
150キロを超えるストレートを投げる選手が多いなか、球速はそこまででなくともキレと変化球で勝負する左腕がいる。伯和ビクトリーズの平岡航である。
平岡は今秋のドラフト候補として名前が挙がる逸材だが、それまでは無名の存在だった。野球強豪校とは呼べない京都府の鴨沂(おうき)高校出身。在校時に全国大会はもちろん春・秋の近畿大会への出場はない。エースではあったもののプロ志望届も提出していない。
同校を卒業後は京滋野球連盟に所属する京都学園大学(現・京都先端科学大学)へと進学し、下級生時からマウントに登っている。
そのなかで2度の全国大会出場。2年時(2015年)に出場した大学選手権では2試合に中継ぎ登板し、8.1回を投げ無失点と好投する。とくに2回戦の専修大学戦では1回途中からマウンドに登ると7.1回を投げ無失点。途中から登板した専修大の高橋礼(現・ソフトバンク)とも互角に投げあっている。
大学4年のドラフト時にもプロ志望届を提出することなく、社会人野球・伯和ビクトリーズへの道を選択。
すると平岡は1年目から主戦として活躍。都市対抗野球の初戦・鷺ノ宮製作所戦でも先発のマウンドを任されたほど。しかし、3回途中4失点と結果を残すことができなかった。
社会人2年目の今年はシティライト岡山の補強選手として、都市対抗野球の舞台に立った。初戦の宮崎梅田学園戦では、7回途中から中継ぎとして起用され2.1回を無安打無失点。3つの三振を奪う好投を見せる。同じく中継ぎとして登板した2回戦の日本生命戦では0.2回を投げ2失点、被安打4と打ち込まれてしまう。
平岡は身長173センチ、体重62キロというサイズが示すとおり、野球選手としては小柄である。その身体から繰り出される140キロ前後のストレートは、快速球といったイメージがピッタリ。その快速球と鋭いスライダーのコンビネーションで投球を組み立てる。
チームでは先発・中継ぎと両方の役割を任されているが、リストアップしている球団によって方針は違うだろう。
現時点の平岡はドラフト上位間違いなし、という素材ではないかもしれない。しかし、社会人出身で中位・下位指名されプロ入り後に飛躍した選手は多い。
日本ハムの守護神である秋吉亮(パナソニック→ヤクルト3位)や西武中継ぎ陣を支える平井克典(ホンダ鈴鹿→西武5位)が代表的な選手だろう。この両選手も社会人時代は先発起用がメインだった。プロで中継ぎに専念し、大きく花開いたのである。
はたして平岡はどのような選手へと成長していくのだろうか。成長曲線が楽しみな存在である。
(記事:勝田聡)