- プロ野球
2019.10.04 12:00
ついに発表!WBSCプレミア12 侍ジャパン注目の男、鈴木誠、千賀をデータで紐解く【NISSAN BASEBALL LAB】
■#51 鈴木誠也(外野手・広島)
4年連続Vを目指すチームの主砲として臨んだシーズンだったが、名将・原辰徳監督率いる巨人の前に屈する格好となった2019年。それでも鈴木誠也個人のパフォーマンスは傑出したものがあり、バットで、そして守備や走塁でチームに力を与え続けた。
さまざまな角度から選手を評価する総合指標WAR(Wins Above Replacement)において、鈴木はセ・リーグトップの8.6をマーク。巨人の主将としてチームをけん引した坂本勇人、そしてかつてのチームメートである丸佳浩(巨人)を超える数字を残した。
初の打撃タイトルとなる首位打者、最高出塁率の二冠に輝いた鈴木だが、打席の質の高さは打率や出塁率だけでは語ることができない。セイバーメトリクスの打撃指標であるwRC+は、平均的な打者を100として数字が大きいほど優秀な打者であることをいうことを示している。
今季の鈴木が残した188は、平均と比べて約1.9倍も生産的(得点への貢献が大きい)な打者だったことを示す。本拠地のマツダスタジアムは相対的に見て投手有利に近い環境だが、wRC+はこうした球場の特性を加味した指標であるため、本塁打の数で上回る坂本や山田哲人(ヤクルト)以上に鈴木の得点生産能力は評価されている。
鈴木の選手としての価値は、打撃にとどまらず守りの面でもチームにプラスを生み出せるところにある。ポジション別にリーグの平均的な選手と比較してどれだけ失点を阻止できたかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)で、右翼手の鈴木は平田良介(中日)に次ぐリーグ2位の9.5をマークした。
2年前に足首を故障してから一時的に守備範囲に狭まる傾向を見せていたが、今季はその兆候も見られず、かつてのような広大な守備範囲と強肩を生かした進塁阻止で度々チームを助ける働きを見せた。
今季は外国人投手に対して100打席で8本塁打を放ち、OPSも1を超えるなど優れた結果を残した。150キロを超える速球が持ち味のロメロ(中日)から16打数6安打で打率.375、動くストレートで勝負するメルセデス(巨人)からは12打数5安打で打率.417を記録するなど、さまざまなタイプの外国人投手に対応。
初の大きな国際大会であるWBC2017では目立った活躍を見せられなかった鈴木。球界を代表するスタープレーヤーに成長して迎える今回のプレミア12では、侍ジャパンを引っ張る存在となる。
■#41 千賀滉大(投手・ソフトバンク)
今季両リーグで唯一の200奪三振以上の投手。千賀滉大の投手としての魅力を語る上で、誰の目にも明らかなシンプルな記録だ。2000年以降でシーズン200奪三振以上は28人目となるが、例えば2005年の松坂大輔(西武、226奪三振)、2011年のダルビッシュ有(日本ハム、276奪三振)、2018年の菅野智之(巨人、202奪三振)など、その時代を代表するスーパーエースが名を連ねている。
三振の数の多さそれ自体にも価値はあるが、こと三振を奪う頻度という点においては今季の千賀はさらに評価を上げる。9イニングあたりの奪三振を表す奪三振率は、2リーグ制以降の規定投球回到達者の中でナンバーワンとなる11.33を記録した。
今季のパ・リーグでは規定投球回に到達した投手が6人にとどまるなど、近年は先発が長いイニングを投げるケースが減少する傾向にある。両リーグ最多の180回1/3を投げながら歴史的な奪三振率を実現した千賀は、国内で最も旬を迎えている投手のひとりだろう。
かねてより奪三振率の高いタイプの投手だった千賀だが、これまでのピッチングと比較して大きな変化が見られたのがストレートの球速だ。今季の平均153.3キロは昨季から5.2キロも上昇し、初めて150キロ台に乗せた。
もちろん今季の両リーグを通じて最も速い先発投手だったが、データスタジアムが球速データを保有する2004年以降でこれを上回るのは大谷翔平の2シーズン(2016、17年)のみだった。
WBC2017でベストナインに選ばれるなど、国際試合への適応はすでに証明している千賀。対外国人選手という観点で見ると、今季は外国人打者に対して41.9%の割合で三振を奪取。同割合の外国人打者NPB平均でも22.6%で、平均的な投手と比較して2倍近い頻度で三振を取っていることになる。プレミア12のエース格として、屈強な外国人打者から三振の山を築く姿に期待したい。
※データは2019年レギュラーシーズン終了時点
文:データスタジアム株式会社