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2017.05.19 12:00
【THE INSIDE】2017社会人野球…「第70回JABAベーブルース杯争奪 全国社会人野球大会」雑感
2017年現在、登録されている企業チーム数は88。1970年代頃の企業チーム全盛期に比べたらおよそ4分の1であるとはいえ、クラブチームの数は261。従って、社会人野球チームの登録数そのものは、30~40年前とほとんど変わっていない。
都市対抗も日本選手権も代表枠は32である。その出場枠を競い合うという構図そのものには、チーム数からの倍率としては数字上はさほど変わってはいないともいえる。
ただ、実質2大会に出場するのは、そのほとんどが企業チームである。正直、企業チームとクラブチームの力の差は歴然であり、予選では大差の試合になることも少なくない。
限られた企業チーム同士ではお互いに何度も試合を重ねてきており、手の内は知っている。それでも、最大の目標である都市対抗への出場を目指して、ことに5月下旬から6月にかけて繰り広げられる都市対抗予選は、各チームが最も神経を注いでいく真剣勝負となる。
その前哨戦として、各地区連盟が主催して全国大会が開催されていく。これらの大会では、優勝すれば秋の日本選手権の出場権が得られるが、都市対抗予選前の最後の戦力調整及び確認という意味合いもある。
日本製紙石巻 対 三菱重工名古屋
東海地区連盟では、毎年5月の連休を目途として「ベーブルース杯争奪全国社会人野球大会」が開催される。今年は70回大会ということで、参加チーム数が4チーム増えて16チームでの戦いとなった。4チームが4つのブロックに分かれて予選リーグを行い、さらに各ブロック1位の4チームで決勝トーナメントを争う。
第60回大会からは、プロ野球・中日ドラゴンズの二軍が参加することも同大会の特徴となっている。今大会では、初戦で新日鐵住金鹿島とタイブレークにもつれる接戦を戦うなどしたが、結果としては2年連続の優勝を果たして、プロとしての面目を保った。日本製紙石巻戦で本塁打した高橋周平は、その日に一軍へ召集されて翌日にはマツダスタジアムで行われた広島戦に出場していた。こうしたことがあるのも、プロの二軍チームが参加している社会人野球大会の、また違った意味での面白さでもある。
ところで、今大会で決勝トーナメント進出を果たしたのは、JFE西日本、東京ガス、西濃運輸に中日二軍だった。そして、東京ガスと中日二軍が決勝を争い、4対3で中日が勝った。
なお、中日が優勝したことで、準優勝の東京ガスに日本選手権出場権が与えられるのだが、すでに東京ガスもJABA静岡大会で優勝して出場権を獲得している。そのため、関東地区に日本選手権大会出場枠が1枠増ということになった。
ベーブルース杯に出場した中日二軍
開催地元の東海地区勢としては、西濃運輸が何とか決勝トーナメントに進出を果たして地元勢として健闘をした。毎年激戦となる都市対抗予選 東海地区の代表戦を見据えたということで言えば、ジェイプロジェクトは2勝1敗で西濃運輸に並んだが、西濃運輸はタイブレークでの1敗ということでひとつ上に立った。
ジェイプロジェクトは、この春から元近鉄の大石大二郎監督が就任したことでも話題になっている。名古屋を中心とした焼鳥屋チェーン店で、選手たちも夜は店舗業務につきながら野球に取り組んでいるというチームである。そうした中からも、今年は2012年以来の都市対抗出場が狙えるくらいに戦力も充実してきているという。それだけに、このベーブルース杯でも、ひとつ上のステージに進みたかったところではあったであろう。
また、昨年は都市対抗の本大会出場を逃したHonda鈴鹿や、新日鐵住金東海REX、東邦ガスなども、いずれも決勝トーナメントに進むことは出来なかったが、20日からの都市対抗東海地区予選へ向けて、いよいよチームを仕上げていくことであろう。
ベーブルース杯の歴史は戦後すぐにまで遡ることになるが、毎日新聞社の特派員が闘病中のベーブルースを見舞い、サイン入りのカップを受け取ったことに端を発している。やがて、その世界的ホームラン王の功績を永遠に称えていこうという趣旨も含めて、毎日新聞社が大会を主催したのが1947(昭和22)年である。
Honda鈴鹿の選手たち
大会会場は、東京地区ではすでに夏の都市対抗が盛んになっていたということもあって、普及という面も考慮して名古屋で開催することとなった。第3回大会までは名古屋市の大須球場で開催されていた。その後は全国を転々としながらの開催となっていたが、70年に大会誕生の地でもある名古屋市に戻ってきたことを機に、東海北陸社会人野球連盟管轄となって、熱田球場などで開催されていた。
そして、1991(平成3)年(第45回大会)から、岐阜県の長良川球場と大垣北公園球場で開催されるようになり、今日に至っている。
今では、5月連休の岐阜県でのスポーツイベントのひとつとしてもすっかり定着してきたと言えそうだ。中日二軍も参加するということで、アマチュア野球ファンだけではなく、プロ野球ファンや二軍選手の追っかけファンなども含めて、さまざまなファン層が集まるようになった。