- プロ野球
2019.09.11 12:00
「次の100年に向かって」進化し続ける伝統の逸品・甲子園カレー【Ballpark Trip vol.18】
阪神タイガースの本拠地であり、高校野球の聖地としても知られている阪神甲子園球場。数々の名勝負を生んだ同球場にも名物グルメがいくつかある。
その象徴とも言えるグルメが「甲子園カレー」だ。日本人の多くが愛してやまないカレーライスだが、同球場が開場した1924年から球場内でカレーライスが提供され、今日に至るまで、球場の看板メニューとして多くの野球ファンに親しまれてきた。その人気は絶大で、今では通販でも販売しており、自宅でもその味を楽しむことが可能となっている。
球場内外で味わうことのできる「甲子園カレー」はバリエーションも豊富だ。チーズやミンチカツといったトッピングを加え、好みの具材を追加して食べることができる。また、甘口、中辛口、辛口と辛さを選べるので、辛いものが苦手な人でも安心だ。
さらに牛白もつをじっくり煮込むことによって、牛ホルモンのうま味がカレーの中に溶け込んだ「甲子園ホルモンカレー」、じっくりあめ色にソテーした玉ねぎ、独自にブレンドしたカレー粉や香辛料などをじっくり煮込んだ「甲子園黒カレー」など様々な種類のカレーを楽しむことができる。多くの種類を取り入れていることについて、球場で飲食・物販を担当している永田昂大さんはこう話す。
「ずっと同じ商品だけを売り続けていると、マンネリ化してきます。お客様のニーズを探りながら根幹の部分を変えずに工夫しています」
「甲子園カレー」というベースは崩さずに、新商品を次々と送り出すことで顧客のニーズに応えてきた。甲子園球場誕生95周年となった今年も新商品が誕生している。
記念すべき年に売り出されたのが、「甲子園プレミアムカレー」。フォンドボーをベースに大きくカットした牛肉をじっくり煮込む事で出る旨味と、深くソテーした玉ねぎや香味野菜を潰す事によってコクとうま味を引き出した逸品である。95周年に合わせて値段は950円(税込)と他のカレーに比べてやや高価だが、永田さんによると売れ行きは好調のようだ。
球場の歴史とともに歩みを重ねてきた「甲子園カレー」。5年後には誕生100周年を控えている。永田さんは今後の展望について話してくれた。
「次の100年に向かって、更にブランド化を進めていきたいですが、同じことを繰り返しているだけでは飽きられてしまいます。新しいファンが球場に来た時に『球場でこんなものが売っているんだ』と思うような世間で流行っているようなものを柔軟に取り入れながら、様々なお客様に満足して頂けるような売店にしていきたいです」
「甲子園カレー」はブランドを守りつつも新しい試みを重ねて野球ファンから愛されてきた。今後はどんな新商品が出るのかに注目してみるのも面白いのではないだろうか。
甲子園球場のスタンドで食べる「甲子園カレー」は格別だ。味もさることながら「甲子園に来た」という気分を大いに味わうことができる。甲子園に訪れた際には、ぜひ食べてみてほしい。
記事=馬場 遼