- プロ野球
2017.05.15 12:06
4団体合同の野球振興プロジェクト「PLAY-BALL! 埼玉」が6月からスタート
埼玉県内に本拠地を置く野球・ソフトボールの4団体が、深刻化する競技者数減少を解消するために手を取り合った。4団体とはプロ野球の埼玉西武ライオンズ、女子プロ野球の埼玉アストライア、プロ野球独立リーグの武蔵ヒートベアーズ、実業団女子ソフトボール部の戸田中央総合病院メディックスで、「PLAY-BALL! 埼玉」と名付けられたプロジェクトのもと、埼玉県内の子供たちに野球やソフトボールに触れるきっかけを提供していく。プロ野球球団が他団体とともに野球振興を行った事例はこれまでにもあるが、地域の4団体が同一のプログラムを展開するのは国内で初の試みだ。
◆同じ内容を広範囲で共有し、継続的に行える仕組み
プロジェクト発足の背景には、2010年以降加速した競技人口の減少があった。現在は多くの公園で野球やソフトボールを行うことが禁止されており、子供たちがボール遊びを楽しむ機会が減っている。埼玉西武ライオンズ事業部の別府学さんによると、「バットを使うのはダメでもキャッチボールはOKという公園も実際にはあるのですが、近隣から苦情が来ると公園側は禁止せざるを得ないようです」とのこと。
ライオンズの選手会長・炭谷銀仁朗選手のもとにも、ファンから「子供たちが野球をやりたくてもその環境がない」という声が届いた。それをきっかけに、球団が地域の子供たちに向けて野球を知ってもらう機会を提供するプロジェクトを発案。県内のほかの団体もすでに同じ取り組みを行っていたこともあり、地域に根づいた4団体が一体となって広範囲で継続的に行える仕組みを作るべく、本プロジェクト発足に動いた。
「このプロジェクトの目的は、まだ野球を知らない子供たち、興味は持っているけどなかなかやる機会のない子供たちに、野球の楽しさを伝えることです。それをきっかけに競技人口やファンの裾野を広げて、『プレーする』『観に行く』につなげられればと考えています。今までそれぞれがバラバラにやっていたものを、これからは同一のプログラムのもとでやるので、どのチームのどの選手が行っても同じ内容を共有できることがこのプロジェクトのメリットです」(別府さん)
◆女子プロ野球選手の大きな役割
埼玉アストライアの広報・片岡裕貴さんは、「これまでも野球の普及活動はやってきましたが、うちのチームだけでは行けない地域やできないこともあったので、このプロジェクトは本当に有意義だと思います」と語る。
野球人口増加のためには、女子の競技者を増やすことも重要だ。そのため、女子プロ野球選手の野球振興における役割は大きい。「アストライアの選手たちも、子供の頃は男の子に交じって野球をやって好奇の目で見られることもあったようですが、これからは女の子が野球をやってもおかしいことではないということを、このプロジェクトを通して伝えられたらいいなと思います」(片岡さん)
プロジェクトの活動第一弾は6月18日。和光市内の公園で4団体合同の親子向け野球体験イベントを実施する。その他にも、申し込みがあった場合に小学校や幼稚園を随時訪問していくという。また、シーズンオフには炭谷選手をはじめ、現役選手たちもこのプロジェクトのイベントに参加する予定だ。
プロジェクトの将来的な展開について、ライオンズの別府さんは「プロ野球12球団のない地域にある独立リーグ球団やソフトボール団体とも、いずれは連携してプロジェクトを広げていければと思います」と語っている。