- 高校野球
2018.07.12 16:57
【THE INSIDE】100回目の夏、全国高校野球東西東京大会 開会式
今年の夏の訪れは早かった。梅雨明け宣言も、早々と6月に出された関東地方だったが、夏の恒例行事ともいえる全国高校野球も、東京都では例年よりも1週間早く7月の声を聞くとともに1日の日曜日に開幕した。
もっとも、この日は開会式のみが行われ、試合そのものは1週間後の7日からのスタートということになる。その間、今年は特例で5日までは練習試合を組んでもいいということにもなっている。
どうしてこうした変則日程になったのかというと、7日と8日はアイドルのコンサートが予定されているということで神宮球場が使えないというのだ。それを聞いて、「えっ?」と耳を疑ってしまった…。神宮球場は野球場じゃなかったのか、まして、アマチュア野球にとっては聖地とも言われている球場である。しかも、この時期に高校野球があるということは、前もってほぼ認識されていていいはずのことではないのか。
「メインの野球場が、野球以外の理由で使用できないとは、どういうことなのだ?」と、思わず声を上げたくなってしまうではないか。
全国高校野球が第100回大会を迎えて盛り上がっていこうと言う一方で、新聞では「4年連続野球部員減少」「高校野球部員数が16万人を割り込むのは03年以来」などと言った、野球にとってややマイナスなイメージなことも報道されている。だから、球場がコンサートに奪われてしまうのか、コンサートに奪われてしまうようだから減少しているのか…、その真実はわからないが、少子化という現実だけではないものがあるのだろうか。盛り上がる神宮球場での東京大会の開会式を見つつ、そんなことも思っていた。
今年は第100回記念大会
大会史も披露された
とはいえ、開会式は盛大に行われた。この日は式典だけで、試合がないにもかかわらず、スタンドには多くの人が訪れていた。もっとも、そのほとんどが選手の父母や関係者たちである。 近年、こうした親たちの熱心さも驚くばかりだ。三点セットとも五点セットとも言われる揃いのティシャツ、帽子、うちわ、フェイスタオル、ポシェットなどで、一団となって座る。指導者にとっては、親たちとの付き合いというのも大きな要素のようだ。東京都の場合をとっても、都立校ではやはり、親の支えなしには運営そのものも苦労するというところも少なくない。
というのも、学校から支給される部費だけでは運営費としては当然不足するわけで、それを補うために、毎月部費を徴収したり、別途父母会(保護者会)費を徴収したりして、これをボールの購入などの備品代の補填に充てる。さらには、遠征費もバカにならない。それだけの負担をお願いしているのだから、ある程度は親の言うことも聞く必要があるというのも正直なところだろう。かといって、指導方針や、果てに戦術や采配にまで口を出されるのは困りものだ。そんな複雑な思いを抱えている指導者も多くいるはずだ。
また、強豪私学では、完全に一線を引いて対応しているところもあれば、フレンドリーに交流しているところもある。いずれにしても、そんな親たちにとってもこうした開会式のイベントは、息子の晴れ姿でもあるわけで、やはりしっかりと見届けてあげたいというのは親心であろうか。
今年の開会式では100回を記念し、前年の東西の代表校と準優勝校4校に続いて、過去の代表校が初出場年の順番ずつに、3校ずつ並んで行進をした。東海大菅生と二松学舎、早稲田実と東海大高輪台に続いて、日大三と筑波大付、明大明治が続く。こうして行進してくると改めて気がつくのだが、戦前の東京代表は実は早稲田実と現在は神奈川に移転している慶應義塾(慶應普通部、慶應商工)が続いていて、それ以外では1938年の日大三が最初ということになる。
歴代代表校が初出場の歴史順に行進
そして、戦争の中断をはさんで、46年の復活大会で現筑波大付となっている当時の東京高等師範附属(その後、東京教育大附を経て現校名)、そして、1950年の明大明治(当時は明治高)ということになる。さらに、日大一、日大二に法政大高(当時、法政一)が続き、東西に分かれた最初の大会となった74年の佼成学園、城西大城西(当時は城西)などが続いていく。こうして三校ずつ、かつて甲子園出場を経験した学校が続いていくが、案外学校数が少ないということで、改めて甲子園への道のりの厳しさを実感させられる。
選手宣誓は、東京大会の場合は恒例で、毎年春季東京都大会の優勝校主将ということになっているので、日大三の日置航君が務めた。そして、セレモニーがひとしきり終了した後に、映画『ああ栄冠は君に輝く』の予告編が、スコアボードのオーロラビジョンに映しだされた。
映画『ああ栄冠は君に輝く』の特報を上映
映画は、7月7日に石川県での先行封切となっているが、その後、今月下旬から徐々に全国に展開されていく運びとなっている。
映画に関する情報は下記参照。
『ああ栄冠は君に輝く』