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国学院久我山高校OBが初のマスターズ甲子園出場を決める!【マスターズ甲子園東京大会】

高校を卒業したOBチームで再び甲子園出場を目指す「マスターズ甲子園」。
2018年5月27日(日)、東京の文京区にある「東大球場」にて、今年の東京都代表としての甲子園大会出場権を懸け、2016年と2017年の「マスターズ甲子園」東京大会の優勝チームである、立川高校OBと国学院久我山高校OBの試合が行われた。

*当初はこの試合は4月15日(日)東京都・江戸川区球場で開催の予定だったが、雨天のためこの日に延期された。

中井貴一が主演した映画「アゲイン」などの影響もあり、「マスターズ甲子園」予選大会の参加校は各都道府県で増加の一途を辿っている。そのため、東京でも「マスターズ甲子園」出場の資格は2年に1度しか与えられない。そこで、過去2年の予選大会の優勝チーム同士でプレーオフを行い、勝ったチームに2018年11月に行われる甲子園本大会の出場権を与えることとしている。

両チームの先発投手はともにチームのエースであり、マスターズ東京を代表する本格派右腕の二人、立川・原口、国学院久我山・大久保と発表された。
投手は最大で2イニング(6アウト)しか登板できないマスターズルールもあり、投手起用は各チーム監督が一番頭を悩ませるポイントになっているが、両チームともまず主導権を握りたいと、最も信頼できる投手を先発させてきた。


先制したのは立川だった。1番田村、3番米水がチャンスを広げると、4番安川・5番長田がそれぞれ犠飛・タイムリーを放ち2点を先制。国学院久我山:大久保の立ち上がりを攻め、幸先の良いスタートを切った。
しかしその裏、国学院久我山も1番新居がヒット後、すぐに盗塁を決めると、3番橋本・4番金森の連続タイムリーですぐさま同点に追いつく。


いきなり両投手が失点するという当初の予想とは異なる展開での序盤戦となったが、2回は両投手が持ち味を発揮し、共に3者凡退、無得点。甲子園出場をかけた決戦にふさわしい、互角の展開で試合は中盤へと進んでいく。

3回表、国学院久我山の投手は李に交代。先頭の田村がセンター前にヒットを打ち出塁すると、米水の痛烈なセンターライナーをセンターが捕球できず後逸し、1点を立川が勝ち越す。
しかし裏の久我山の攻撃で2番・近藤が四球で出塁後、3番・橋本がライト後方に特大の一発を打ち逆転に成功。この一発で一気にチームに勢いがつき、更にチャンスを作って9番・小成が3ラン。その後も連打を重ね、このイニングだけで10得点をあげ、試合の流れを完全に決定づけた。
試合後、立川・林監督はこの回を振り返り、「結果を見れば投手の代え時を誤ったかもしれない。それでもこのイニングは茂野に期待していた部分もあり、判断は難しかった。うちの悪いところが全部出てしまった。」とつぶやき、天を仰いだ。


5回からは35歳以上のみが出場できる後半戦に突入。
5回裏には現役時代、西東京大会決勝戦で日大三高の前に涙を飲んだ金野の2ランホームランが飛び出し、15-3。金野は「来た球を打っただけ。現役時代から18年、本当にうれしい。」と満面の笑みで振り返った。この一発がダメ押しとなり、野球の神様はとうとう国学院久我山の前に微笑むことを決めたようだった。

6回に制限時間の関係で、裏の国学院久我山の攻撃中に試合終了が決定すると、急きょ、最後の打者となる石垣に代わり、代打で田代監督が出場。
「このチームは現役の時に甲子園まであと1勝という舞台を経験しているメンバーが半分くらいいる。だから今日こそはなんとしても勝ちたかった。あと1つ勝てば甲子園。今もずっと夢に見ている奴がたくさんいるんです。感無量ですよ。いいメンバーに恵まれました。」田代監督は試合後に、目を潤ませながらこう語った。

試合終了後には学校関係者や家族もスタンドに降り、ともに勝利を分かち合った。「甲子園に行けることは現役野球部にも刺激になる。この夏の予選でも頑張ってほしいし、どちらが先に甲子園での1勝を上げるか楽しみです。」と、田代監督はチームメイトからの胴上げ後に、甲子園出場5回を果たすも、まだ甲子園での勝利がない現役野球部へのエールを送った。

現役時代、決勝で創価に敗れ甲子園への道を断たれた森山主将も「勝利の瞬間は本当に涙が出ました。チーム立ち上げ時にはこんな瞬間が来るとは想像もしていなかった。甲子園ではとにかく楽しんでプレーしたい。」と応援に駆け付けた家族に囲まれながら、笑顔で甲子園への想いを語ってくれた。

2018年の『マスターズ甲子園』の切符は国学院久我山が獲得した。国学院久我山は11月11日(日)甲子園球場で、福岡県の代表校と対戦する。