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2018.05.10 17:23
【THE INSIDE】高校野球、春季大会の楽しみ方…100回目の夏を見据えて、各地区で有力校の前哨戦
今年の夏は第100回記念大会となる、恒例の“夏の甲子園”。メモリアルイヤーの大会ということもあって、各校ともに「記念すべき年の大会に、最高の結果を残したい」という思いで、日々の練習に励んでいる。
その、前哨戦的な位置づけとなっているのが春季大会である。長い日本列島だけに地域によって多少の差はあるが、早い地区では3 月下旬くらいから地域のブロック予選や一次予選が行われ、4月になると全国各地で県大会が開催されていく。そして、まずは都府県大会の最初の目標は、夏の大会に向けてのシード校となる権利を得るための、それぞれベスト8 もしくはベスト16を目指すということになる。
そして、都府県大会を勝ち上がった2校(もしくは地区大会の規定に従って3~4校)が、次のステージとしての地区大会に進出する。この大会は直接甲子園出場に影響を与えるというものではない。しかし、多くの指導者たちは、「背番号をつけて、県の代表として出場することで、公式戦の緊張感を味わえる意味は大きい」という意識だ。
試合前、東邦の選手たち
また、それだけではなく、直接甲子園がかかった戦いではないからこそ、夏までに試してみたい選手を思い切って起用することもある。そして、そんな中から、思わぬ活躍をする選手が出現することもある。それが、本人としても自信を得ていくことになるし、チームとしてもチーム力の底上げということにつながっていく。見る側としては、そんな選手を発見することもまた、春季大会の楽しみでもある。
関東地区、東海地区ではおおよそ5月のゴールデンウィークを目安として各県大会が終了し、5月中旬の地区大会へ進んでいく。地区大会は持ち回り制となっているが、関東地区は5月19日から千葉県の主管で、千葉県スポーツセンター野球場をメインにゼットエーボールパーク、袖ヶ浦球場などで開催される。
各県上位2校だが、地元の千葉県からは上位4校が出場する。また、関東大会の恒例となっているのだが、センバツでベスト4以上に残った学校は県大会の成績に関係なく招待校として出場することとなるのだが、今年は東海大相模が招待校として出場する。神奈川県は横浜と桐光学園に合わせて3校が出場ということになったのだが、いずれも全国レベルの強豪校である。
また、埼玉県からは昨夏に全国制覇を果たした花咲徳栄が浦和学院とともに出場する。花咲徳栄4番の野村佑希君は注目のスラッガーでもある。
群馬県も常連校となった健大高崎が1位校で出場する。1番を打つ山下航大君もプロ注目の逸材のひとりである。「攻撃力ということだけで言えば、例年よりも上だと感じている」と、青柳博文監督も自信を持っている。
今春の関東大会の出場校を見てみると、2000年以降で全国制覇を経験している学校が前述4校以外にも日大三と常総学院、作新学院を含めて7校ある。参加19校のうちの3分の1以上を占める。それだけ、安定した力を示しているということが言えよう。
シートノックに向かう準備をしている常総学院
もっとも、その一方でフレッシュな顔ぶれといえるところがほとんどない。わずかに、千葉県の千葉黎明、群馬県の関東学園大附といったところぐらいか。また、公立校は千葉県の習志野のみである。このあたりは、高校野球の現状の勢力構図の縮図とも言えそうだ。
東海地区大会は1日早く、18日から今年は愛知県が主管として小牧市民球場と豊田球場で開催される。顔ぶれとしては、こちらも常連校が多いが愛知県からは誉、岐阜県からは帝京大可児が出場しているのがフレッシュなところである。
ことに誉は、14年秋に県大会を制して初めて東海地区大会に進出した実績があるが、春季東海地区大会は初出場となる。誉はかつて尾関学園といっていたが、小牧市にある比較的新しい学校だ。今大会は地元開催でもあり、躍進を示したいところである。名古屋市内勢を倒すことを目標としてチームは成長してきた。
帝京大可児は昭和最後の年に開校したので、ほぼ平成の時代とともに歩んできたと言っても言い、中高一貫を目指した比較的新しい学校だ。2004(平成16)年から、水泳部とサッカー部に続いて野球も強化部となった。かつて、豊川で森福允彦投手(シダックス→ソフトバンク→読売)を擁して、2年連続愛知大会決勝まで導いた実績のある田口聖記監督が就任して実績を挙げてきた。この大会でどのような戦いを繰り広げてくれるか、楽しみでもある。
そして6月に入ると、2日から中国地区大会が山口県の主管で、北信越大会は石川県の主管で、7日からは青森県で東北地区大会が開催される。東北地区大会は毎年、春季大会も大いに盛り上がっており、こうしたことも近年の東北勢躍進の背景となっているのではないだろうか。
いずれにしても、夏の大会本番前に、全国各地でそれぞれの思いを込めて盛り上がっていく。それもまた、高校野球の魅力でもある。