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プロ野球

再浮上した唯一無二の長身サブマリン右腕 高橋礼(専修大)

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

高橋 礼 たかはし・れい
専大松戸→専修大
投手・右投右打・187センチ77キロ・1995年11月2日生(21歳)

 187cmの長身を思い切り沈み込ませて、浮き上がる球筋のストレートを投じる変則右腕。ストレートの最速は140km/h前後にもなる。
 
 専修大では1年秋から登板機会を得ると、2部リーグで5試合32回3分の2を投げて、自責点はわずかに4。1年生ながら原樹理(東洋大→ヤクルト)黒木優太(立正大→オリックス)、戸根千明(日本大→巨人)、らを抑えてリーグトップとなる防御率1.10の成績を残し、2部リーグ優勝に貢献した。青山学院大との入替戦でも2試合に先発して試合を作り、1部昇格に貢献した。

 翌春も専修大と高橋の勢いは止まらず、昇格即優勝の快挙を達成した。高橋も守護神としてチームの躍進を支え、まだ2年生ながら侍ジャパン大学代表に選出。ユニバーシアードに出場して、相手の反撃を許さない好救援を見せて金メダル獲得に貢献した。

 だが3年生となり、エースを任されるようになった昨年から苦しい投球が続いた。ストレートを速く投げようと思うがあまり、また走者を気にして速いモーションで投げようと思うがあまり、体が前に倒れる形になり、キレ・制球力ともに落ちてしまった。一般的な投手とは異なるダイナミックなフォームゆえに修正も難しかった。

 昨年は春秋とも奮わず、今春は防御率7.58という過去最低の成績に終わり、入替戦では高橋がサヨナラ打を浴びて専修大の2部降格が決まった。

 一方、どん底を味わったことで、この夏に思いきったフォーム改造が可能になった。齋藤正直監督と藤田康夫コーチが全球付きっきりで投球練習を見つめ、1球ずつ確認しアドバイスを送った。こうして体の軸をしっかりさせ、大きな溜めを使って投げるようなると、今秋はチームのエース格としてフル回転して5勝をマーク。どん底の状態を脱して、ドラフトを迎えることができた。

 同じフォームの人間が周囲にいないからこその強みと弱み。その紙一重の中で今後も戦うことにはなるが、この4年間で経験した浮き沈みは決して無駄ではなかったはずだ。次なるステージでは、その存在感も唯一無二のものにしていきたい。

文・写真=高木遊