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侍ジャパン

【U18W杯戦士の今・後編】「大事な場面で任されるような投手に」森下暢仁(大分商→明治大2年)

 初優勝を狙い、U-18W杯を戦っている侍ジャパンU-18代表。今回は2015年の前回日本大会で惜しくも銀メダルに終わりながらも、それを糧に再び侍ジャパンのユニフォームに袖を通した森下暢仁投手(大分商→明治大2年)の活躍を伝える。

森下暢仁(もりした・まさと)・・・1997年8月25日生まれ。大分県出身。180cm73kg。右投右打。

★前回大会活躍も「このままでは通用しない」

 2年前の夏、甲子園には未出場(1年夏はベンチ入りも出場無し)ながら唯一侍ジャパンU-18代表に選出。予選ラウンドのチェコ戦で7回を完封(7回コールド)し12三振を奪うなど3試合の登板すべてで無失点の好投を見せ、U-18W杯初優勝まであと一歩と迫る準優勝に貢献した。まだ細身ながら伸びのあるストレートを投じる姿に、「ドラフト上位候補」との声も挙がった。

 だが森下は「アメリカなど強い相手の時に投げたかったという気持ちもあります」と振り返る。そうした悔しい気持ちとともに、同期の一線級の選手たちと行動をともにし、「投球の中での考え方だったり、もっと高いレベルにならないと、プロに行っても通用しないと思いました」と刺激を受けた。

 それまではプロ志望の気持ちの方が強かったが、明治大の善波達也監督や当時のエースだった柳裕也投手(現中日)と出会う機会もあり「プロじゃできない様々な人生経験もできる」と明治大進学を決めた。

★2度目の侍ジャパン

 今年、森下は再び侍ジャパンのユニフォームに袖を通した。1年春の新人戦で右ヒジを骨折する大ケガを負ったものの、秋には復帰。そして今春は初先発初勝利や自己最速の149km/hをマークするなど、本領を発揮し始め、日米大学野球(7月・アメリカ)とユニバーシアード(8月・台湾)を戦う侍ジャパン大学代表に選出された。
 日米大学野球では2試合に先発し、ともに6回を投げ自責点2という内容ではあったがチームを勝利に導くことはできなかった。それだけにユニバーシアードに賭ける思いは強かった。

「2年前よりも相手のレベルは高いですが、自分も高校の時よりはレベルアップしていると思っています。“もっともっとやってやる”という気持ちと、“大事な場面で任されるような投手でありたいと”いう気持ちを強く持っています」
 この決意を有言実行させたのが、ユニバーシアード決勝のアメリカ戦だ。日米大学野球の全米選抜チームとは異なるアイオワ大学の単独チームではあったが、予選ラウンドでは3ラン本塁打を浴び3回3失点で先発の役目を果たせなかった。
 だが、そこからフォームの重心を低くする修正を施した。すると、次のスーパーラウンドの韓国戦で好救援を見せる。そして、2度目の先発をした決勝戦では味方の大量援護もあり、「先輩方のおかげで思いきり投げることができました」と7回まで毎回となる11三振を奪ってアメリカ打線に反撃の糸口さえ与えない無失点の好投で、侍ジャパン大学代表を2大会連続金メダルに導いた。森下も「持ち味を出すことができました」と笑顔を見せた。

 今月からは東京六大学野球も開幕する。侍ジャパンのユニフォームで学んだ経験を学生野球の聖地・神宮球場でも存分に発揮し、自身が目指す「負けない投手」の理想を求めて、明治大として2季ぶりのリーグ優勝・日本一に導きたい。

★森下暢仁から現侍ジャパンU-18代表選手へのメッセージ

「まったくわからない相手ですし、自分のできることを考える。即席チームなので、まずはチームメイトと仲良くなって団結力を深めたら優勝に近づくんじゃないかなと思います」

文・写真=高木遊