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プロ野球

劇的サヨナラから零封投手戦まで——2025年7月21日 プロ野球全6試合ダイジェスト

灼熱のスタンドを揺らしたのは、真夏の太陽だけではなかった。セントラル・リーグ、パシフィック・リーグともにドラマ満載となった7月21日の公式戦は、サヨナラ劇、大逆転、零封リレーと球史に刻まれる名場面が目白押し。ここでは6球場すべての熱戦を振り返り、翌日以降につながる“流れ”を読み解いていく。

セ・リーグ

読売ジャイアンツ 6–5 阪神タイガース(東京ドーム)

序盤から本塁打攻勢で5点を先行した阪神タイガースに対し、読売ジャイアンツは六回まで沈黙。それでも七回、一気に5点を奪い同点に追いつくと、九回裏には丸佳浩の中前打で劇的なサヨナラ。勝利投手はルイス・マルティネス、敗戦投手は伊原陵人。首位争いを繰り広げる宿敵を相手に、巨人が「逆転のG魂」を見せつけた夜だった。

東京ヤクルトスワローズ 7–6 広島東洋カープ(明治神宮野球場)

三回終了時点で2点、五回には4点差まで広げられた東京ヤクルトスワローズ。しかし終盤六回に2点、七回に1点を返して1点差に迫ると、九回はオスナ、サンタナの連打で無死満塁。最後は村上宗隆がバックスクリーンへ逆転サヨナラ3点適時打を放ち、スタンドを沸かせた。勝利投手は矢崎拓也、敗れた広島は新守護神トーマス・ハーンが痛恨の黒星。カープにとっては連日の逆転負けで、首位戦線が一気に混沌としてきた。

横浜DeNAベイスターズ 1–0 中日ドラゴンズ(バンテリンドーム)

両軍エース同士の投げ合いは“零の重圧”が続いたが、六回表、横浜DeNAベイスターズの新助っ人タイラー・フォードが中越え適時三塁打。これが決勝点となり、エース東克樹は9回を完封目前の8回1/3で伊勢大夢へバトン。伊勢がきっちり締めて今季5セーブ目をマークした。中日は金丸夢斗が8回1失点の力投も報われず、バンテリンドームはため息に包まれた。

パ・リーグ

北海道日本ハムファイターズ 2–0 東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天モバイルパーク宮城)

ドラフト1位左腕・細野晴希が3勝目。四回に万波中正の適時二塁打などで挙げた2点を、細野—柳川大晟の完封リレーで守り切った。楽天打線は真っすぐに差し込まれ、三塁を踏めぬままゲームセット。日本ハムはカード勝ち越しを決め、Aクラス入りへ着実に前進した。

福岡ソフトバンクホークス 4–1 埼玉西武ライオンズ(ベルーナドーム)

三回、育成出身のアレックス・ダウンズが中越え三塁打で2者を返し、近藤健介の右前適時打で突き放す4点を一気に奪った福岡ソフトバンクホークス。先発大津亮介が六回途中1失点、藤井皓哉—松本裕樹—杉山一樹の継投で危なげなく逃げ切った。埼玉西武ライオンズはニック・ネビンの左越えソロで反撃するも、中軸が好機を生かせず痛い連敗。

千葉ロッテマリーンズ 2–0 オリックス・バファローズ(ZOZOマリンスタジアム)

千葉ロッテマリーンズの石川柊太が今季4勝目を完封リレーで飾った。二回、2年目の西川僚祐が一、三塁から左前への決勝打を放ち、その後も安田尚憲の右中間二塁打で加点。益田直也が九回を締め、通算200セーブまであとわずかに。オリックス・バファローズはディアス、宗佑磨ら主軸が沈黙し、わずか1安打に抑え込まれた。

総括

真夏の陽炎が揺らすペナントレースは、一振りで潮目が変わる。セ・リーグでは読売ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズがサヨナラ勝ちで再加速し、横浜DeNAベイスターズは東克樹の快投で踏みとどまった。一方のパ・リーグは北海道日本ハムファイターズが若きエースの台頭で勢いに乗り、福岡ソフトバンクホークスが盤石の投手力を示し、千葉ロッテマリーンズは粘り強い守りで星を伸ばす。シーズンは折り返しを過ぎたが、まだまだ各球団の物語は深みを増すばかり。明日の一戦が、再び歴史を塗り替えるかもしれない。