- 高校野球
2022.10.12 18:57
サイドハンドにフォーム改造 うなるストレートは150キロ 安西叶翔(常葉大菊川高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】
安西 叶翔(あんざい・かなと)
●守備 投手 ●身長・体重 186cm・89kg
●生年月日 2004年11月13日 ●所属 常葉大菊川高
●球歴 岡崎中(京都ベアーズ)→常葉大菊川高
●出身地 京都府 ●投打 右右
昨年の秋から冬にかけて、ピッチングフォームを変えたというから思い切ったものだ。スリークォーターからさらに腕を降ろして、サイドハンドにしている。若干、腕を下げただけと思われるが、本人にとっては、とんでもない差になるはずだ。
だが安西自身は「腕の出どころがサイドでもスリークォーターでもない。プロでも似たような投手がいないことが武器です」とあっけらかんとしているそうで、既に違和感なく体得済みということだろう。
「腰の回転は横なので、エネルギーを生かせるように腕の振りも高い位置にならないように、振り易い角度を探した」そうだ。
そして、一番、スピードが出る高さがそこになって、140キロ弱のスピードが10キロ増しに。一気にドラフトの上位候補に名乗りを挙げた。
ストレートがうなっている。
こう表現するスカウトがいる。
非公式ながら最速150キロの剛球は最近で言えば、巨人のストッパー・大勢の真っすぐに近いか。
変化球はカウントも取れるスライダー、チェンジアップ、三振を奪えるフォーク、そして右打者の内角へ145キロのツーシームがある。
さらに野手のリズムを考えて、早めに追い込んで打たせて取る投球術を追い求める。
1年生の秋からベンチ入り。主にリリーフで県大会全5戦中4試合に登板し、御殿場西で先発し完投勝ちを飾る。東海大会は海星に打ち込まれ初戦で敗退。
2年秋、主戦投手になるが県の地区大会で破れ、フォーム改造に取り組む。
今夏の甲子園出場を期待されたが、悲劇に見舞われた。2回戦翌日、チーム内にコロナ陽性者が出て自身を含む全寮生が戦線離脱となってしまったのだ。結局、4回戦で敗退となり大舞台経験なしで終えた。ただ、2試合先発、10イニングを投げ11奪三振、無失点。無四球が特筆される。
スカウトは見るたびに良くなっている、と成長を褒める。
「特にコントロールは以前は、投げてみないとわからない、という感じでしたが、見違えるようになってる。変化球でも腕が振れるようになりました。パワーと柔軟性を兼ね備える。手足の長さはプロらしいとも言える」
また別のスカウトは伸びしろしかない、という。
「上背のあるスリークオーターで両サイドを使える投球が魅力です。(巨人の)大勢みたいな印象でしたが、戸郷(巨人)にも似てる。力を抜いてまとめるのも上手い。それはマウンド上で余裕があるからでしょう」
甲子園に縁がなかったということは人気度は低いということか。1位で一本釣りできたら、そのチームにとって大成功のドラフトになる。