- 高校野球
2022.10.10 19:25
侍ジャパンU-18で最優秀投手賞獲得 制球抜群のセンバツ胴上げ投手 川原嗣貴(大阪桐蔭高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】
藤浪晋太郎(阪神)二世。
188センチという長身で大阪桐蔭の先輩になぞらえることもある。
大柄には珍しくコントロールが安定しているのが特徴でゲームを作ることができる。ストレートの最速は150キロ。スライダー、スプリット、チェンジアップ、カットボールと変化球も多彩だ。
チーム内の同学年に別所、一つ下に前田というエース格がいて、登板機会を分け合った。
今年のセンバツは3試合で18イニング。夏は大事な1回戦の旭川大高と3回戦の二松学舎大付に先発、自責点3。二松学舎を完封した。
実は6月の練習試合で左手首に打球を受け骨折していたという。大阪大会は2試合先発したが、バットを振らずにマウンドも早めに降りていた。もし、この骨折がなかったら、もっといいパフォーマンスを見せられていたかもしれない、と西谷監督は言っていたとか。
「利き腕の骨折ではなかったですが、バランスなど影響はあったでしょう。それまではほんとに順調だった。そのままいったら、すごいピッチングもしていたかも」
もしかしたら・・・大阪桐蔭の春夏連覇が果たされていたかも、なんて思ってしまう。
悔しさや、耐えた思いを川原はU-18の世界大会にぶつける。
イタリア、オーストラリア、オランダ、韓国戦に登板。オランダ戦は先発して5イニングを完封。他の3試合は大事な中継ぎに起用され、トータル8イニングを0失点で切り抜けている。アメリカ戦で最速150キロを計測し内容も完璧で、奪三振16個、四死球を与えていない。銅メダルを獲得し最優秀投手賞のタイトルを贈られている。
お父さんも奈良・大和広陵高校で甲子園に出ているという。
幼稚園の時に既に軟式の野球を始めていたというから驚きだ。中学時代は北摂シニアでプレー。3年の時に関西選抜として台湾遠征している。
大阪桐蔭では2年の春からベンチ入り。府大会の決勝・近大附戦で先発、7回まで2安打におさえ優勝に貢献した。
2年生で夏の甲子園デビューを果たす。近江戦、同点の8回裏から2番手で登板したが、2失点して結局、競り負けた。
翌春のセンバツでは初戦の鳴門には先発完投勝ち、準決勝の國學院久我山戦にも先発して7回2失点と役割を果たした。そして決勝の近江戦は胴上げ投手になっている。チーム最多3試合に投げ、18回19個の三振を奪う。防御率は1.50だった。
そして夏の甲子園とU-18の好成績に繋がっていく。
内角も遠慮なくつける度胸あり。マウンドが硬い時はリリースポイントを下げたり、足をゆっくり上げて安定感を持たすなど、応用力もある。
U-18世界大会を終えてスカウトの評価がグッと上がった。
「上背を生かした真っすぐの角度と、カットボールなど変化球の使い方がうまいのが特徴です。素材は面白い上に、体のサイズを考えれば、もっと強さが出てくるでしょう。先輩の藤浪晋太郎に近いイメージで、体の線は細めでも将来はほんとにおもしろい。スケールが大きく世界大会の最優秀投手だし2位くらいで指名されるかもしれない」