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法大・山下輝が丸山和郁との『ヤクルトドラフト指名対決』を制して引き分け。明大優勝の可能性が消滅【10/26 秋季東京六大学野球 法政大学vs明治大学】

 2021年10月26日、東京六大学野球秋季リーグの第6週3日目が行われ、法大と明大は4対4で引き分け。優勝するには残り2試合の連勝しかなかった明大は優勝の可能性は消滅し、優勝の可能性は今週末に直接対決する慶大と早大に絞られた。

気持ちを整え、最終回同点のチャンスで打席に向かう明大・丸山

【気持ちを整え、最終回同点のチャンスで打席に向かう明大・丸山】

「山下(の準備)ができました」との報告がブルペンからベンチに入ると、法大・加藤重雄監督は明日の先発予定だった山下輝(4年・木更津総合/ヤクルトドラフト1位指名)の投入を決断した。

 2点リードの9回裏、法大は古屋敷匠眞(4年・八戸工大一)と尾崎完太(2年・滋賀学園)がともに制球に苦しんで1点差に迫られ、なおも無死満塁。打席には一昨日に逆転サヨナラ打を放っている丸山和郁(4年・前橋育英/ヤクルトドラフト2位指名)、1ボール1ストライクの場面で山下が投入された。山下はベンチの指示ではなく「4年生でこの試合を勝ちたかったので」とベンチの指示無しに自らの判断によりブルペンで肩を作っていた。

 来季から同じチームでプレーする好打者相手だったが、山下は「相手というよりストライクゾーンだけを見て投げました」と一心不乱に力強い球を投げ込み、丸山をファーストゴロに打ち取り、同点の走者は本塁で封殺。続く打者も同様に抑えて2アウト。

 その後、二塁手・齊藤大輝(3年・横浜)の失策により同点にされこそしたものの、最後は明大の4番・上田希由翔(2年・愛産大三河)をツーシームで空振りに斬って取り、試合終了。なんとか引き分けでしのぎ、悔しさで顔を歪めていた捕手の村上喬一朗(3年・東福岡)を「いい捕手だと常に思っている」と慰めるなど、最後まで4年生の振る舞いに徹した。

 一方、丸山は一昨日の再現はならず。「4年生のミスで勝てず、今までやってきたことの詰めが甘かったです」と責任を背負い込んだ。「下級生やサポートをしてくれた4年生に申し訳ないです」など終始口調は重く、「優勝は無くなりましたが明治らしい野球で明日は勝って終わりたいです」と学生野球最後の試合に向けて言葉を絞り出した。

 秋季リーグの終盤戦らしい4年生同士の意地のぶつかり合いはスタンドを大いに沸かせた。明大は優勝が無くなり、法大は5位が確定したとはいえ、学生野球最後の試合となる4年生を中心とした熱戦が明日も期待される。

村上喬一朗を励ます山下輝(法政大)

【村上喬一朗を励ます山下輝(法政大)】

■法政大vs明治大1回戦
法大 000 000 040=4
明大 110 000 002=4
【法】三浦、古屋敷、尾﨑、山下輝-村上
【明】蒔田、磯村、村田-蓑尾
本塁打:明大・村松(1回ソロ)

◎明大・田中武宏監督
「蒔田に勝ち星を付けてあげたかったですが私の継投ミスです。今年は攻守で“あと一球”という場面が多かったです。申し訳ないの一言です」

◎明大・蒔田稔(2年・九州学院)※先発に抜擢され7回無失点の好投
「早大戦で9回2アウトから逆転されて申し訳ない気持ちでしたが、先輩や監督が温かい言葉をかけてもらったので“やり返してやろう”と思って投げました。技術というより気持ち。相手を見下ろすつもりで投げました」

大事な一戦の先発に任されたが、堂々の投球を見せた蒔田

【大事な一戦の先発に任されたが、堂々の投球を見せた蒔田】

文・写真=高木遊