- 高校野球
2021.10.01 18:30
黒田、上原、菅野級。将来は球界を代表する大エースの予感 小園健太(市和歌山高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】
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今年の高校生のドラフト候補、上位指名されそうな投手を称して〝ビッグ5〟と言われている。北から風間(明桜)、畔柳(中京大中京)、達(天理)、小園(市和歌山)、森木(高知)がその5人の右腕だ。そこにセンバツ優勝投手、左腕の石田(東海大相模)を加えた6人が投手のトップ6になるだろう。
この中で現時点で完成されていて一番、安定感があるのが小園だ。ヤクルトの奥川のように、プロ入り2年目にはローテーションに入ってくるようなイメージがわく。
夏の甲子園は智辯和歌山が優勝した。智辯が優勝できたのは「県内のライバル、小園をいかに打つか」という大きな目標があったからだと言われている。小園を倒さなければ甲子園にも出られない。夏の決勝戦まで活発な打線が機能した一因だ。
もし、和歌山県大会で小園が智辯和歌山打線を抑え込んでいたら市和歌山が夏を制していた可能性も多いにあったわけだ。
最後の和歌山決勝戦、小園は後半6、7回、8回で智辯打線につかまり4点を取られ、1対4で甲子園出場にはならなかった。(ちなみに、2年の秋までは智辯和歌山に3勝0敗、春季大会決勝は敗戦だった)
小園は中学の時に貝塚ヤングに所属し3年夏に全国優勝している。バッテリーを組んだのが市和歌山でも相棒だった松川虎生だ。松川も主将で強打の捕手、ドラフト上位指名が期待されている。
貝塚ヤングで指導した監督がヤクルトで活躍する川端選手の父、末吉さんだ。
最初はショートを希望していたというが、雰囲気、間の取りかたなどピッチャーとしてのセンスを兼ね揃えていたという。
「〝完全なエース〟と言ってました。マウンドに送り出すときは全てをまかせました」
川端監督は大事なゲームは小園に先発させた、という。
川端慎吾選手が市和歌山の前身の市和歌山商に進んだ縁もあり、小園・松川のバッテリーも市和歌山に進む。その道筋は間違っていなかった。順調にプロへの扉をこじ開けるところまで来ている。
高校2年夏の大阪桐蔭との練習試合で152キロの自己最速をマークしている。
続く秋季近畿大会準々決勝で智辯和歌山エース・中西との投手戦となった。被安打4本、2対0で完封した。
センバツで甲子園デビュー。初戦・県岐阜商戦は1対0でサヨナラ完封勝ち。2回戦明豊戦はリリーフして5回1失点、1対2で惜敗して全国制覇はならなかった。
セ・リーグのスカウトが高い技術的な部分を褒める。
「腕の振りがストレート、変化球の何を投げても変わらない。スライダーは右バッターの手元で逃げていくので、バッターが追いかけている。同じ球種でも指幅を変えてるはず。広めたり狭めたり自在じゃないかなぁ。この打者にはこの曲がりがいい、と投げ分けていた。カット、ツーシーム、チェンジアップも問題ない。巨人の菅野みたいになる可能性がある」
他にプロの投手になぞらえると黒田(元広島、ヤンキースなど)、上原(元巨人、レッドソックスなど)の名が上がっている。将来はチームの大黒柱になる、という評価だ。
県岐阜商戦でバント攻撃をされても動じていなかった。パ・リーグの別のスカウトは総合的な部分を見込んで、1位じゃないと取れない、と断言する。
「勝つ野球、勝つ投球を知っている。回を重ねるごとに、球の出し入れやファウルを打たせることができていた。流れを読める、めりはりをつける試合勘を持っている。打者との駆け引き、エースとしての役割をこころえている」
川端監督が胸を張って言っていた。
「ドラフト1位で指名されてプロに行くことを想定して指導していた」
いくつの球団が競合するか楽しみだ。
(文=清水岳志)