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大学野球

早大が岩本久重ら4年生の意地で雪辱。小宮山悟監督「秋に向けて鍛え直す」【5/30 春季東京六大学野球 早稲田大vs慶應義塾大】

 2021年5月30日、東京六大学野球春季リーグで早慶戦2回戦が行われ、リーグ戦5位が決まっていた早大がリーグ優勝を決めていた慶大に4対2で競り勝った。

勝利を決めて笑顔を見せる岩本と西垣

「4年生がよく意地を見せてくれた。優勝した強い慶應を相手に互角に戦うことができ、秋に繋がる試合になりました」と小宮山悟監督が試合後語ったように、早大の気持ちのこもったプレーが随所に見られた。

 初回に主将の丸山壮史(4年・広陵)が「不甲斐ない結果が続いていたので、チームのためにと思って打ちました」と左前に適時打を放って先制に成功する。その後、同点に追いつかれたが4番の岩本久重(4年・大阪桐蔭)が「今日は初球から振っていこうと思いました」と狙っていたカーブを左翼席に運ぶ本塁打を放って勝ち越し。さらに、後続も続いて好機を作ると、前日から先発に抜てきされている今井脩斗(4年・早大本庄)が追加点となる適時二塁打を放った。
 
 投げては右肩の調子が本調子ではない徳山壮磨(4年・大阪桐蔭)に代わって先発した山下拓馬(4年・早大本庄)が2失点で凌ぐと、5回途中からは徳山が登板。満塁のピンチを招いたが、遊撃手・熊田任洋(2年・東邦)の好守で併殺に抑えて同点を許さず。

 その後は丸山の叩きつけた内野ゴロの間にダメ押し点を奪い、守っては原功征(3年・彦根東)、西垣雅矢(4年・報徳学園)と繋いで、4対2で勝利した。

 秋に向けて小宮山監督は「去年の秋のような感動を味わえるように、彼らを徹底的に鍛えようと思います」と宣言した。

 一方、慶大は今季ここまでわずか4失点だった増居翔太(4年・彦根東)が4回3失点と力を発揮できず、打線もチャンスを生かせず2得点のみに終わった。主将の福井章吾(4年・大阪桐蔭)が足に受けた死球の後に代走を送られるなど全日本大学野球選手権に向けて不安を残した。それでも福井は「今の状態はまだ分かりませんが、チームが勝つためにやるべきことは変わらないので、コンディショニングや技術、気持ちのコントロールをしっかりやっていきたいです」と殊勝に語った。

 堀井哲也監督も「培ってきたチーム力を最大限出せるようにバックアップしていきたいです」と語り、これまでの積み重ねをもとに平常心で戦うことを誓った。
 
 お互いにとって負けられない特別な相手との戦いを経て、早慶両校が次なる戦いでどんな姿を見せるのか楽しみだ。

5回裏、同点を防いだ熊田(写真右)の好守に喜ぶ徳山(写真左)

■早稲田大vs慶應義塾大2回戦
早大 100200010=4
慶大 010100000=2
【早】山下、○徳山、原、西垣-岩本
【慶】●増居、渡部淳、生井、橋本達-福井、中澤慎
本塁打:早大・岩本(4回ソロ)

早慶戦を前に既にリーグ優勝を決めていた慶大は6月7日開幕の全日本大学野球選手権に出場する(慶大の初戦は9日予定)

◎慶大・森田晃介(4年・慶應)※防御率1.57で最優秀防御率を獲得
「意図や気持ちの入ってない1球を無くそう、当たり前のことを当たり前のようにやろうと取り組んできました。大学選手権でも自分たちのベストをやるべく、自分自身もやるべきことをやっていこうと思います」

◎早大・小宮山悟監督
「夏に向けてたるんでいるところを鍛え直したいですね。グラウンドに立って力を発揮するためには何が必要なのか。普段の練習から試合のつもりでボールを扱うことができているのか。その一点です。先輩方から飛田穂洲先生の『一球入魂』とはこういうことなんだと教わってきましたから、それを繋いでいきます」

文・写真=高木遊