- 大学野球
2020.10.23 18:21
ドラフト1位指名間違いナシの大型スラッガー 佐藤輝明(近畿大学)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】
豪快な打撃が魅力的な今年のアマチュア球界ナンバーワンスラッガー。今月18日には大学の先輩でもある二岡智宏(巨人三軍監督)が持っていた関西学生連盟記録を更新するリーグ戦通算14本目の本塁打を放っている。新型コロナウイルスの影響で春季リーグが中止になり、1シーズン少ない中での記録更新はかなりの価値があるものと言えるだろう。
近畿大の試合には佐藤を一目見ようと多くのスカウトが詰めかけ、メディアも佐藤の一挙手一投足に視線を集中させている。関西の大学生選手がこれほど注目されるのは近年では見られなかった光景だ。
「これだけ大柄で動ける日本人は数少ない」という田中秀昌監督が話すように佐藤の凄いところは打撃だけではない。50m走は6.0秒の俊足で、今季は10試合で3盗塁を記録。三塁守備でもファールゾーンに飛んだバントの小フライをスライディングしながら右手でキャッチするなど、随所で軽快なプレーを見せている。高校時代には捕手として二塁送球で1.8秒台をマークした強肩の持ち主。走攻守揃った万能プレーヤーとして、プロで活躍する要素を兼ね備えている。
現在の活躍を支えているのは少年時代のスポーツ経験だ。小学生の頃には野球と並行して水泳や器械体操を習っており、特に器械体操で習ったマット運動や逆立ちは「体の使い方が上手くなると思います」と野球少年にも推奨している。
また、小学6年生の時に右肘を故障してからはサッカーに没頭。野球の練習がない時はスパイクを履いて友人とサッカーをしていたという。中学時代は野球に対してそこまで熱心ではなく、回り道をしたように思われたが、その間に野球でやらないような動きを覚えたことが後々に役立ったのかもしれない。
既に入札を公言したオリックスをはじめ、複数の球団が佐藤の1位指名を検討している。ドラフト会議当日は間違いなくクジ引きになるだろう。どの球団が佐藤を引き当てるのか今から楽しみだ。
打撃の粗さには課題が残るが、将来的には球界を代表する長距離打者になれる可能性を秘めている。「ホームラン王はもちろん取りたいです」と話す21歳がプロ野球ファンを魅了する日はそう遠くない。
文・写真=馬場遼