- 大学野球
2020.10.22 17:00
いまや最速152キロの本格派左腕に変貌を遂げた「勝てる」投手 鈴木昭汰(法政大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】
アマチュア球界屈指の豊富な実績を誇る左腕だ。茨城県で生まれ育ち、小学生時代に県8強に進むと、中学3年時は土浦霞ヶ浦ボーイズのエースとしてボーイズリーグ全国大会で準優勝、ジャイアンツカップで3位に輝いた。
また、その活躍が認められて侍ジャパンU-15代表にも選出され15Uアジアチャレンジマッチ2013で優勝。藤平尚真、石原彪(ともに楽天)、古川裕大(上武大)、五十幡亮汰(中央大)らとともに日の丸を胸に戦った。
20校以上の誘いの中から「地元で親孝行したい」と進んだ常総学院高校でも1年秋から活躍。防御率0.92の活躍で関東大会4強に導き翌春の甲子園出場を決めると、甲子園でも3試合22回3分の1を投げて自責点わずかに3。チームを14年ぶりのセンバツ8強に導いた。夏こそ甲子園出場を逃したが、2年で既に茨城を代表する投手になった。
3年時もセンバツこそ初戦敗退となったが、夏は県決勝で細川成也(DeNA)を擁する明秀学園日立高校の強力打線を完封し2年連続の夏の甲子園出場を果たした。そして甲子園では4試合すべてに鈴木が先発し3勝を挙げて再び8強まで勝ち上がったのだった。
そんな輝かしい実績を引っさげて法政大に進んだが、大学野球の壁にぶち当たった。
「レベルが想像以上に高くて、高校時代なら抑えられていたコースや球種が通用せしませんでした」
そこで鈴木はパワーアップに着手する。高校時代のイメージは「勝てる技巧派左腕」というイメージだったが、3年春になると帽子を吹き飛ばすほどの勢いのあるフォームから150キロ前後のストレートを投げ込むまでに変貌。ようやくリーグ戦初勝利を挙げると、秋にはリリーフとして活躍し、冬には侍ジャパン大学代表合宿に招集され、古川や五十幡と再び同じグラウンドで白球を追った。
冬場や新型コロナ禍期間中に体力強化をしてきたことが功を奏し、今年は全国屈指の投手層を誇る法政大のエースに。また最高球速も152キロを計測するまでになった。現在行われている秋季リーグでも第5週を終えて防御率1.13と安定した投球を見せている。早稲田大戦での早川隆久との投手戦では先に失点してマウンドを降りると悔し涙を流すほど勝利への執着心も変わらぬままだ。
幼い頃から顕著だった勝負強さやこだわりにパワーも加えて、プロの世界にも堂々とその一歩を踏み出していけそうだ。
文・写真=高木遊