- 社会人野球
2020.10.21 19:35
フルスイングが持ち味の右のスラッガー・今川優馬(JFE東日本)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 社会人編】
スイングだけで相手に脅威を与えられる存在がいる。JFE東日本の右のスラッガー・今川優馬である。
今でこそドラフトの上位指名候補として注目を浴びている今川だが、振り返ってみると、ここまでの道のりは順風満帆ではなかった。
東海大四高3年夏の甲子園ではベンチ入りしたものの、背番号は「16」で出場は代打での1打席だけ。ちなみにその唯一の打席では、石川直也(山形中央高→日本ハム)から安打を放っている。
プロ志望届けを提出せずに進学した東海大北海道大学時代も、2年秋まではリーグ戦への出場がない。3年春に初出場を果たすと、同年秋には打率.310、2本塁打と開花の兆しを見せる。すると4年時は春秋ともにベストナインを受賞し、ドラフト候補として一躍注目される存在になった。
プロ志望届けを出して運命の日を待ったものの、結果は指名漏れ。社会人野球の強豪JFE東日本へと進むことになる。
その1年目から今川はレギュラーを掴むと都市対抗野球では打率.381(21打数8安打)、1本塁打、3打点の活躍を見せチームを優勝に導き、自身も若獅子賞を受賞している。成績はもちろんだが豪快なフルスイングも相まって、全国にその名が一気に知れ渡ったと言ってもいい。
秋に行われた日本選手権でも打率.300(10打数3安打)と結果を残し、社会人野球の年間ベストナインにも選ばれた。指名漏れの悔しさを吹き飛ばし、昇り調子でドラフト指名解禁となる2020年を迎えるはずだった。
しかし、新型コロナウイルスの影響で大会は軒並み中止。さらにJFE東日本は昨年の都市対抗野球で優勝したため、今年は予選が免除されている。日本選手権が中止になったことも重なり、今川は今年公式戦に出場することなくドラフト会議を迎えることになったのである。真剣勝負の場がないのは、ドラフト指名を待つ今川にとって大きなマイナスだ。
だが、公式戦ではないものの10月6日に行われた巨人二軍とのプロ・アマ交流戦では、田原誠次から本塁打を放つなどアピールは続けており、スカウトたちからの評価は揺るがないはずだ。
持ち味のフルスイングで本塁打を量産する今川の姿を、プロ野球の舞台で見ることができる日は近い。