- 大学野球
2020.10.21 19:46
東克樹や坂本裕哉の背中を追って成長を遂げた大型右腕 有村大誠(立命館大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち】
東克樹や坂本裕哉(ともにDeNA)など近年、立て続けにドラフト上位投手を輩出している立命館大のエース。決め球のスライダーは昨年に関西学生野球連盟が実施した「選手の選ぶNo. 1選手 1/150」の変化球部門で1位に選ばれるほどのキレ味を持つ。
中学時代には枚方ボーイズに所属して全国5冠を達成したが、有村自身は最速110㎞/h台の控え投手で、公式戦での登板は皆無だった。
それでも、「スタートは一緒だと思っていた」と枚方ボーイズの同期も多く進んだ秀岳館高で急成長を遂げる。食事量を大幅に増やしたことで、球速は入学当時の118㎞/hから144㎞/hまで伸び、2年秋にはエースの座を勝ち取った。3年生の時には九鬼隆平(ソフトバンク)とバッテリーを組み、甲子園で春夏連続4強入りの立役者となっている。
「地元の関西でやりたかった」と進学した立命館大では2年春にリーグ戦デビューを飾り、3年生から先発を任されるようになった。昨秋にはリーグトップの防御率0.92を記録し、「ここまでは順調に来ています」と後藤昇監督が話すようにエースとしての階段を着実に上がっている。
有村の成長を後押ししたのがプロに進んだ先輩の存在だ。3学年上の東と1学年上の坂本と練習や試合を共にすることで、学ぶことが多かったと振り返る。
「凄いピッチャーについていかせてもらって、色んなことを吸収させてもらいました。エースとしての在り方を考えることもありましたし、一球の重みを学びました」
先輩の背中を見て学んできた有村が、今年は投手責任者として投手陣を引っ張る立場となった。自らの行動や言動が後輩に影響すると自覚し、責任ある行動を心がけてきた。後藤監督はその姿勢について、「黙々と練習している姿は見えますね」と評価する。言葉よりも自ら背中で示すことで、他の投手陣にもいい影響を与えているようだ。
今秋のリーグ戦では全てのカードで第1戦の先発を任されており、ここまでチームトップの3勝を挙げている。有村はプロ入りを「一番の夢」と語っている。自らの夢を叶え、偉大な先輩たちと舞台に立つことができるだろうか。
文・写真=馬場遼