- 社会人野球
2020.10.20 18:19
昨冬のAWBで最多安打を記録した打てる遊撃手・中野拓夢(三菱自動車岡崎)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 社会人編】
東海地区の強豪である三菱自動車岡崎は、2019年の社会人野球日本選手権で1995年以来24年(23大会)ぶりとなるベスト4を達成した。その大会でチームを引っ張ったのが、中野拓夢である。
中野は1回戦から準決勝までの4試合全てにおいて「3番・遊撃手」として出場し、打率.421(19打数8安打)、4打点と気を吐き、準決勝をのぞく3試合で打点をマークした。
その活躍もありJABA選抜の一員として、台湾で行われたアジアウインターリーグベースボール(AWB)に参加。ここでも打率.371(70打数26安打)と結果を残している。
そこで残した打率.371は大会2位、26安打は大会トップでもあった。安打製造機タイプではあるが、二塁打5本、三塁打と本塁打をそれぞれ1本放っており、長打力もある。
とはいえ、長距離砲ではなく、ハイアベレージを期待したくなる打撃が特徴だ。身長172センチの二遊間を守る選手らしい巧打が売りといえる。守備を見ると、遊撃手としての守備範囲は広く、グラブさばきも安定しており安心感がある。また、高校、大学では二塁手も経験していることも強のひとつだ。
社会人野球の門を叩く前の中野は、日大山形高から東北福祉大へと進学し、ともに全国大会を経験するも目立った成績は残すことができなかった。高校時代、大学時代ともにプロ志望届は提出していない。
高校時代唯一の全国大会となった2013年夏の甲子園では、準決勝で髙橋光成(現・西武)から安打を放ったが大会通算打率.188(16打数3安打)と苦しんだ。
東北福祉大時代は明治神宮大会、大学選手権に合わせて4度出場した。4年時の大学選手権こそ打率.333(15打数5安打)と片鱗を見せたが、4年間トータルでは打率.172(29打数5安打)と結果を残すことができていない。
このように高校時代、大学時代は全国の舞台でなかなか結果がついてこなかったが、社会人野球ではそれを打破。日本選手権、AWBで結果を残しドラフト候補に名乗りを上げた。
社会人野球出身の遊撃手といえば、源田壮亮(トヨタ自動車→西武)や藤岡裕大(トヨタ自動車→ロッテ)、安達了一(東芝→オリックス)、田中広輔(JR東日本→広島)らが、プロ野球の世界でも活躍している。
シュアな打撃と安定した守備を売りとする中野もその輪に加わる日は近い。